情感たっぷりにハーモニカの音を奏でる梅田さん(宇治市宇治)

情感たっぷりにハーモニカの音を奏でる梅田さん(宇治市宇治)

 京都府宇治市宇治のハーモニカ奏者梅田恒弘さん(84)が、日本のハーモニカ界で最も権威のある、日本ハーモニカ芸術協会の「佐藤秀廊(ひでろう)賞」を受賞した。世界的ハーモニカ奏者で恩師の名を冠した賞を贈られた梅田さんは「人を感動させる演奏へのこだわりが認められた」と喜びを語る。

 梅田さんがハーモニカを始めたのは、国民学校3年の1944年に父が唱歌を吹いてくれたのがきっかけ。東京から移り住んだ京都府宇治市で終戦を迎えて以後、ハーモニカに熱中。「口が裂けるほど練習した」という。
 大学を卒業して営業職に就き、出張で全国を飛び回る中でも寝る間を惜しんで練習を続け、ハーモニカ教室にも通った。34歳の時、現在の演奏技法を確立したハーモニカ界の第一人者、故佐藤秀廊さんに教えを請うた。感情を込めた演奏を徹底して学び、「自分の技術や表現は先生の指導あってこそ」と、梅田さんは振り返る。
 定年後は宇治市に戻り、2006年にハーモニカ教室を開いた。現在は府内外約20カ所で週6日、約100人の生徒に歌謡曲や唱歌の独奏を教える。自身と生徒による演奏会を市文化センターなどで毎年開き、昨年までに11回を重ねるなど演奏活動にも精を出す。
 新型コロナウイルスの影響で、3月からは教室や演奏会が相次ぎ中止に。先の見えない日々を過ごす中で4月、長年の演奏活動や指導が評価され、佐藤秀廊賞を贈られた。「最高の賞をいただき、夢のよう」と喜びつつ、「芸術に完成はなく、だからこそやりがいがある。今後も表現力をさらに磨きたい」と気を引き締める。
 6月から新型コロナの対策を取って教室を再開した。「郷愁を誘う音色が魅力。気持ちを込めた演奏で人の心を動かしたい」。師匠から学んだ「曲の情景を思い浮かべた演奏」を次世代に伝えたいといい、ハーモニカへの情熱は衰えを知らない。