大津地裁

大津地裁

 滋賀県彦根市の交番で昨年4月に上司の警察官を拳銃で射殺したとして、殺人罪などに問われた当時19歳の元巡査の男(20)=懲戒免職=に対する裁判員裁判の第2回公判が31日、大津地裁(伊藤寛樹裁判長)で開かれた。午前中の被告人質問で、元巡査は犯行時の心境や状況を詳しく述べ、撃つのをやめることは「全く思わなかった」と明かした。

 元巡査は、弁護人の質問に対し、昨年4月11日夕、彦根署河瀬駅前交番(彦根市南川瀬町)で勤務中、奥の部屋で弁当を温めている際、井本光(あきら)巡査部長=当時(41)、警部に昇任=から「行方不明届ごときなんで書けへんねん」と怒られ、続けて「お前があほなんは親があほやからちゃうんけ」とののしられたという。再三の指導でたまっていた感情があふれ、トイレで涙が止まらなくなったと述べた。

 その直後、「この人を撃ったら楽になれる。びくびくして仕事をする状況から逃れられる」と思い、トイレから出て拳銃の撃鉄を起こして、井本巡査部長の背後に立った。しかし、「のどがからからに渇いた」ため、一度奥の部屋に戻ってスポーツドリンクを飲み、再び背後に立って発砲した、と説明した。弁護人から「悪いことだからやめようとは思わなかったのか」と聞かれ、「全く思わなかった」と話した。

 質問の最中、元巡査の表情はあまり変わらず、淡々と犯行の様子や心情を語った。検察官席に座った被害者の妻美絵さんは、殺害の場面を元巡査が振り返る間、ハンドタオルを握りしめ、一度だけ目元をぬぐった。