「涼宮ハルヒの憂鬱」でキャラクターデザインを担当した池田さん。抹茶ソフトクリームを手に笑顔を見せていた(2019年4月撮影)

「涼宮ハルヒの憂鬱」でキャラクターデザインを担当した池田さん。抹茶ソフトクリームを手に笑顔を見せていた(2019年4月撮影)

「犬夜叉」を描いた池田さんの原画が採用された専門誌の特集ページ(上)とカレンダー

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池田さんの原画が表紙を飾った「涼宮ハルヒの憂鬱」の関連書籍

池田さんの原画が表紙を飾った「涼宮ハルヒの憂鬱」の関連書籍

 飽くなき向上心の持ち主は、自らの「分身」に何を投影したのか。京都アニメーションの主要作品でキャラクターデザインを担当した池田晶子(しょうこ)(本名・寺脇晶子)さん=当時(44)=は、世界中のファンを魅了する登場人物の生みの親だ。天真爛漫(らんまん)な主人公「涼宮ハルヒ」のようなエネルギッシュな人柄で、仲間たちを力強くけん引した。

 京都出身の池田さんは、1980年代後半に製作されたロボットSFアニメ「トップをねらえ!」を見てアニメーターの道を志した。その才能が脚光を浴びたのは、京アニ入社後の2000年代初頭。同社が放送回単位で製作業務を請け負っていたテレビアニメ「犬夜叉」で、作画監督に抜てきされた。

 「新しい世代の台頭を目の当たりにし、とても誇らしかった」。京アニ元社員でフリーアニメーターの上宇都(かみうと)辰夫さん(56)は当時を鮮明に覚えている。京アニは作画物を着色する仕上げの下請け時代を経て、製作全般を取り仕切る「元請け」まであと一歩のポジションにいた。実力を業界中に知らしめる大きなチャンス。池田さんは同僚たちに「どの会社よりも良質の作品を」とハッパを掛けた。放送回によっては、通常時を大幅に超える作画枚数に挑むこともあった。

 「京アニで描かれるキャラクターが一番かわいい」。放映後にもたらされたのは、視聴者からの好反応だ。インターネットの掲示板サイトで評判となり、専門誌の特集ページでは池田さんの原画が大々的に取り上げられた。下請け会社のスタッフにこれほど大きな注目が集まるのは、異例のことだった。

 池田さんは、2006年に放映された人気アニメ「涼宮ハルヒの憂鬱(ゆううつ)」でキャラクターデザインを担当し、笑顔はじける快活な主人公を生み出した。演出を手掛けた元社員のアニメ監督山本寛さん(45)は「何て華のある絵を描く人なんだと思った」と振り返る。山本さんが思い返すのは京アニ恒例の忘年会。ムードメーカーだった池田さんは、宝塚歌劇団のミュージカル「エリザベート」好きが高じて同僚とパロディーを熱演した。「姉御肌で、池田さんと『ハルヒ』のキャラクターは見事にイコールだった」