京都アニメーション事件の遺族有志が発表したコメント

京都アニメーション事件の遺族有志が発表したコメント

 昨年7月に京都アニメーション第1スタジオ(京都市伏見区)が放火され36人が死亡、33人が重軽傷を負った事件から1年を迎えた18日、犠牲になった社員20人の遺族有志が、代理人弁護士を通じ、以下のコメントを発表した。

 本日、事件から一年が経過し追悼行事が執り行われたことに際し、遺族有志よりご挨拶を申し上げます。このたびの事件は、アニメーション制作に真摯に向き合ってきた私たちの亡くなった家族にとって本当に無念であったことと思うと、私たち遺族は、今も消えることのない愛しい家族への思いと、立ち上がることができないほどの悲しさ、寂しさ、虚しさ、悔しさを感じています。しかし、最初に今回の事件に関わった多くの方々に感謝の気持ちをお伝えしたいと思います。

 事件発生時、近隣の皆様、消防、警察、医療関係者など多くの方々が、必死に救出救命しようと努力いただいたこと、また、私たちのもとに命を落とした私たちの大切な家族を戻そうとご尽力いただいたことに深く感謝申し上げます。また事件後、日本国内や世界中の多くの方々から、京都アニメーション(京アニ)に対し多大なる支援、応援をいただきました。

 皆様からの大きな支援、応援を通じて、故人が働いていた会社、仕事、作品が広く深く愛されていたことを改めて知らされました。そして故人が携わっていた仕事を誇りに思えることは、私たちの心の支えになりました。京アニと京アニ作品に対する皆様の温かいお気持ちに深く感謝しています。

 事件当日現地で事件に遭遇した社員の皆様、一丸となって作品を作ってきた仲間の皆様も事件後、ご自分たちの辛さを抱えながら私たち遺族を気遣っていただきました。また、故人の友人や知人、私たちの周囲の方々をはじめ多くの方々に事件以来、悲しみに暮れる遺族に心を寄せていただきました。深く感謝申し上げます。

 今回、このような筆舌に尽くしがたい犯罪被害に遭い、私たち遺族は暗く深い闇に投げ出されましたが、これまで日本社会で起こった犯罪被害に立ち向かった多くの方々により、遺族を含めた被害者が平穏な生活を営むことができるよう支援する仕組みづくりや書籍などの情報発信が行われてきていました。そのことも私たち遺族の支えとなりました。この積み重ねや関係者の方々にも深く感謝いたします。

 本来、遺族自らの声で直接、皆様に感謝申し上げるべきところではございますが、私たちはまだ深い悲しみを抱え、心の整理もつかない状態にあります。ただ、皆様に一年を経過したこの7月18日を機にお礼を申し上げるべく文章にまとめました。

 今回の事件では、死亡者だけで36人に達し、遺族も相当数にのぼります。それぞれの遺族はそれぞれの悼み方で故人を偲び、また、お互いに可能な限り手を携えながら痛みを乗り越えようとしています。今は、遺族、友人、知人等で悲しみを分かち合い、静かに祈りを捧げたいと思っています。そっと見守っていただければ幸いです。

 事件については今後、裁判を通じ適切な裁きが行われるものと信じております。また、このような犯罪が二度と引き起こされない社会となることも強く願っています。

 これまでの年月を一緒に生きてきた、そしてまたこれからも他愛もない話などもしながら一緒に生きていこうとしていた家族が突然理不尽に失われた深い悲しみが消える日は来ないと思います。彼・彼女らも私たちや友人たちに別れの言葉を告げることもできずこの世を去ったことや、努力を重ねて築いてきた人生が突然断ち切られてしまったこと、さぞ心残りだったと思います。しかし、きっと空の上から私たちを見守ってくれているだろうとも思います。アニメーション制作に情熱を注いできた彼、彼女らが歩もうとしていた道を、私たちはこれからも見つめて参ります。

 ありがとうございました。
 遺族有志