児童虐待事件に対する草津市の対応の検証結果をまとめた報告書を提出する甲津会長(市役所)

児童虐待事件に対する草津市の対応の検証結果をまとめた報告書を提出する甲津会長(市役所)

 滋賀県草津市で2017年、死亡事件を含む児童虐待が2件起きたことを受けて設置された市要保護児童対策地域協議会の分科会(会長=甲津貴央弁護士)は31日、市の対応の検証結果をまとめた報告書を橋川渉市長に提出した。市の家庭児童相談室が虐待対応マニュアルを順守せず、「重大な見落としを起こしかねない状況であった」と指摘。再発防止に向け、増員による体制強化や職員の専門性の向上、関係機関の連携構築を求めた。

 市が18年1月に設置した分科会は、医療、福祉関係者、大学教授ら5人で構成。計9回の会合で同室と子育て相談センター、発達支援センター、保育所などから聞き取りし、2件に対する市の対応を検証した。

 報告書では、同室について「マニュアルから逸脱した対応が散見された」とし、相談や通告を受けた後、初動対応を協議する緊急受理会議が開かれないことが常態化していたと指摘。いずれの事案も積極的に介入すべき「要保護」家庭と認識せずに曖昧な支援を続けたため、対応が遅れたとした。また、子育て相談センターと発達支援センター、保育所は連携が不十分で、支援が消極的だったと課題を挙げた。

 対応策として、マニュアルの見直しや専門知識が習得できる研修の開催を提言。同室に保健師を新たに配置することや、嘱託で採用されている相談員の待遇改善など人事上の配慮も求めた。

 甲津会長は「家庭児童相談室だけでなく、市全体で支援できる体制と価値観を持ってほしい」と総括。橋川市長は「提言をしっかりと受け止め、速やかに対応していきたい」と話した。

 2件の児童虐待事件は17年に相次いで起きた。7月に父親が男児の腕にアイロンを押し当ててやけどを負わせ、8月には別の父親が男児を踏みつけるなどして死亡させた。いずれも有罪が確定している。