高校最後の大会に向けて練習に励む京都共栄高の三木慶太投手(福知山市)

高校最後の大会に向けて練習に励む京都共栄高の三木慶太投手(福知山市)

 2013年に京都府福知山市の花火大会で3人が死亡し、55人が重軽傷を負った露店爆発事故で大やけどを負った野球少年が高校球児として最後の夏を迎える。新型コロナウイルスの影響で今年の大会はすべて中止となったが、代わりとなる京都の独自大会で23日の初戦に挑む。昨夏の京都大会で4強入りした京都共栄高の三木慶太投手(17)=福知山市=は「やけどをしてお世話になった方々に、恩返しとなるプレーをしたい」と語る。

 左腕の三木投手は緩急を付けた投球が武器。同高では投手陣の一角で活躍する。だが今季のチームはコロナの影響による長い休校期間を経て、6月に全体練習を再開したばかり。「やっとみんなで野球ができて幸せ。当たり前のことが実は当たり前じゃないと、休みの期間に考えさせられた」と受け止める。日常が突然奪われる経験は、7年前の夏にも味わった。

 当時は下六人部小(福知山市)の5年生。家族とともに由良川河川敷の花火大会に訪れた。背後から「シュー」という音が聞こえてきたのを覚えている。「何の音やろ」。今思えば、ガソリンが携行缶から吹き出した音だった。振り返ろうとした瞬間、爆発が起きた。懸命に逃げたが、炎に襲われた。両腕、両脚など皮膚の4割で熱傷を負い、入院は半年間に及んだ。

 同級生らに励まされてリハビリに努め、1年後には野球を再開した。大好きな野球を続けるため、地元の強豪である京都共栄高に進んだ。お世話になった看護師がグラウンドに訪れ、元気な姿を見て涙を流したこともあった。報道で知った阪神のメッセンジャー投手(当時)からはユニホームや著書が贈られた。体の痛々しい傷痕は消えないが、周囲の支えが野球を続ける原動力となっている。

 ストレッチなど研究熱心で、後輩にも丁寧に指導する。神前俊彦監督(64)は「三木の頑張りがチームにいい影響を与えている」と見守る。これまで公式戦の登板はなく、最後の大会に懸ける。初戦となる23日の綾部高戦に向け、「後悔のないように、最後まで全力でプレーする」と強い決意を示した。