「Go To トラベル」やこれからの観光について語る中野会長(京都府南丹市美山町北・かやぶきの里)

「Go To トラベル」やこれからの観光について語る中野会長(京都府南丹市美山町北・かやぶきの里)

 新型コロナウイルスで打撃を受けた観光業を支援する「Go To トラベル」事業が22日、東京都を除いた46道府県で、高齢者や若者の団体客の旅行を控えた上で始まった。京都府丹波地域の観光地では、観光客を出迎える姿勢を見せる一方で、府内でも感染者が増加し、収束が見通せない中で「時期尚早では」などと疑問や不安の声も上がっている。

 南丹市美山町北の重要伝統的建造物群保存地区「かやぶきの里」では、例年、年間に20万人以上が訪れる。台湾や中国から来る団体客が多かったが、現在は京阪神など国内からの観光客が中心だ。

 北村かやぶきの里保存会の中野忠樹会長(67)は「万全な対策をして迎えるが、感染が拡大している中でタイミングが早すぎるのではないかと個人的に感じる」と心配そうな表情を浮かべた。

 市の第三セクターで乳製品の製造販売を手掛ける「美山ふるさと」の奥本浩二代表取締役(59)は「経済が回るのであれば良いこと。徹底したコロナ予防策を取る」とするが「対象を全国にするのではなくまずは地域内を旅行する考えに持って行くべきではないのか」と疑問を呈した。

 市美山観光まちづくり協会の中川幸雄代表理事(71)は「22日から始まるのに詳しい情報が伝わってきていない。地域はかなり疲弊しているので、受け入れ態勢はきちんと整えるつもりだ」と話していた。

 亀岡市追分町の「麒麟(きりん)がくる 京都大河ドラマ館」は開館当初に期待していた団体ツアーが途絶えている。「キャンペーンが機能すれば、紅葉シーズン頃の増客に効果があると期待していた」(福田基館長)というが、同市内では感染者数が増加。先週末の来館者数は前週比で減った。同館はサンガスタジアム京セラ内にあり「再び施設が休館にならないか心配」とする。

 同市薭田野町の湯の花温泉では、東京での感染拡大により首都圏からの大口の修学旅行がキャンセルとなるなど影響が広がっている。同温泉観光旅館協同組合の奥村昌信代表理事は「旅行に前向きな雰囲気ではない。せっかくキャンペーン予算があっても、新たな需要の掘り起こしにつながっていない」と実感している。

 同市と京都市・嵐山を結ぶ保津川下りはコロナに加え、豪雨で4日から運休。保津川遊船企業組合の豊田知八代表理事はキャンペーンの実施について「観光業界の資金繰りが悪化しているということ」と理解を示す。一方、「こんな時だからこそ『安いから行く』という客ではなく、ファンになって繰り返し来てくれる人を増やすよう商品価値を高める努力をしていきたい」と前を向く。