トランプ米政権が、中国に対して強硬策を連発している。

 先週は、香港の自治を抑圧することに関与した中国当局者らを対象に制裁を行う「香港自治法」を成立させた。そのうえでトランプ氏は、香港への優遇措置を終了する大統領令にも署名した。

 来月13日からは通信機器大手の華為技術(ファーウェイ)など中国5社の製品を使う企業に、米政府との取引を禁じる法律を施行する見通しだ。

 中国側は、「内政干渉だ」などと猛反発し、報復措置を取ると表明した。制裁の応酬による米中の対立激化が懸念される。

 香港自治法は、中国が先月末、治安を強化する香港国家安全維持法(国安法)を施行したことを受けて定められた。香港に高度な自治を認めた「一国二制度」の維持を後押しする、と明記している。

 この法によって、自治を抑圧した当局者らを特定し、米資産の凍結やビザ(査証)発給停止などの制裁を科せる。

 また、抑圧に関与した当局者らと取引のある金融機関への制裁もできるようになる。実際に発動されると、米金融機関での資金調達や外国為替取引、貿易決済が禁止される可能性もある。

 香港に展開する日本など外国の金融機関にも適用されそうで、国際的な金融システムにも、不都合が生じかねない。大きく波紋を広げないよう、できる限り自重してもらいたい。

 優遇措置の終了では、香港を中国本土と同様に扱う。香港ドルを米ドルと連動させる制度などの存廃に関わり、為替相場にも影響しそうだ。これらによって、「国際金融センター」としての香港の地位は、大きく揺らぐだろう。

 ファーウェイなど5社排除は、中国当局への情報流出の恐れがあるとして、2年前に成立した国防権限法で決まっていた。施行後、米政府は、5社の製品やサービスを利用する企業とは、契約の締結や更新をしない。

 米政府と取引する日本企業は800社を超え、取引額は約1600億円とされる。中国の部品などを使うところは、米中のどちらと取引するか、選択を迫られる。

 こうした米側の強硬姿勢は、11月に大統領選を控えたトランプ氏のアピールだとする見方もある。中国が各方面で権益を追求する方針を改める兆しがみえないため、当面は続きそうだ。

 どこかで歯止めをかけねばならない。双方に知恵を求めたい。