「母は遺骨もない墓に向かって『出てきておくれ』と泣きついていたが、兄は出てきてくれなかった」兄が戦死した岩崎三之利さん(京都市右京区)

 1944年8月、兄・治三郎さんは中国から転戦し、沖縄戦の最前線に配置された。翌年4月20日、浦添市の伊祖高地で戦死。23歳の若さだった。しばらくして兄の戦死公報が家に届く。線香を立てて拝んでいた母の背中が今でも忘れられない。終戦後、沖縄を慰霊で訪れ、手を合わせると涙がこぼれた。「兄のことを考えると今でも胸が詰まる。きっと帰りたかったんだろう」。2017年、83歳の時に、本紙の取材に語った。