政府は1月の月例経済報告で国内景気が「緩やかに回復している」との判断を維持し、2012年12月に始まった景気拡大が「戦後最長になったとみられる」との認識を示した。

 確定するのは約1年後の有識者会議の後だが、拡大期間は74カ月(6年2カ月)になり、これまで最長だった「いざなみ景気」(02年2月~08年2月)の73カ月を抜いたとみている。

 ただ、この間の実質成長率は年率1・2%にとどまり、過去の景気拡大局面に比べて国民の実感は乏しい。新たな成長路線は描けておらず、米中貿易摩擦などで世界経済の停滞が深まれば、恩恵を実感できない個人や地域を残したまま拡大が終わりかねない。

 政府は「戦後最長」の実態を直視し、真摯(しんし)に実体経済の課題に向き合ってもらいたい。

 好景気はリーマンショック後の世界経済回復によるところが大きい。日銀の大規模な金融緩和で円安株高が進み、堅調な輸出に支えられて企業業績が上向いた。東京五輪関連などの設備投資も活発化し、雇用情勢の改善や訪日客増なども景気に寄与した。

 だが、大企業が潤う一方、家計に恩恵は行き届いていない。企業が蓄えた利益を表す内部留保は増え続け、17年度に446兆円と過去最高を更新した。そんな中、働き手の取り分を示す労働分配率は66%台と43年ぶりの低水準に落ち込んでいる。

 毎月勤労統計の不正問題を受け、野党は18年1~11月の賃金伸び率(前年同月比)の独自試算を公表、物価を加味した実質賃金の伸びが「マイナスになる」と指摘した。賃金が着実に増えていかなければ、国民は好景気を身をもって感じることはできない。

 成長率が低いのは、内需の柱である個人消費の伸び悩みが響いている。消費を伸ばすには、企業が積極的に賃上げし、政府も財政再建や社会保障制度改革で将来への不安をなくしていく必要がある。

 経済報告は35カ月ぶりに世界の景気判断を下方修正し、中国も「緩やかに減速している」に下げた。国内では消費税率10%への引き上げが10月に迫り、五輪特需の終わりも待ち受ける。

 日本経済は、財政出動や金融緩和といった「カンフル剤」への依存が続くが、イノベーション(技術革新)を推し進め、地道に生産性向上を図ってこそ成長の足腰は強くなる。政府