映画のポスターを前に「素朴な感じに見えると思いますが、アクションもあります」と解説する辻野さん(大津市・県庁)

映画のポスターを前に「素朴な感じに見えると思いますが、アクションもあります」と解説する辻野さん(大津市・県庁)

 異例のヒットとなった映画「カメラを止めるな!」を生んだENBUゼミナールシネマプロジェクトの最新作「河童(かっぱ)の女」を監督した大津市出身の辻野正樹さん(51)が、PRのためこのほど県庁を訪れた。「笑って泣けて、見た後はすがすがしい気分になれる映画。51歳の新人監督の劇場デビュー作を滋賀の皆さんに見てほしい」とアピールした。

 辻野さんは3歳から大津市瀬田で暮らし、京都市立芸大卒業後、23歳でミュージシャンを目指して上京。シンガー・ソングライターとして発売したCDは売れず、バイト先で知り合った俳優と始めた劇団も続かなかったという。映画作りを学び始めたのは40歳を過ぎてからで、監督や俳優の養成学校「ENBUゼミナール」のシネマプロジェクトでオリジナル脚本が評価され、監督に選ばれた。
 「河童の女」は辻野さん初の長編映画で、かっぱ伝説がある川辺の民宿が舞台。社長の父親が出て行き、独りきりで民宿を営まなければならなくなった主人公のもとに、ミステリアスな女がやってきて住み込みで働くことになる。2人の男女が織りなす物語に、笑えるエピソードや田舎が抱える問題を交えつつ、最後は温かな気持ちに包まれる作品に仕上げたという。
 滋賀県長浜市木之本町出身の上田慎一郎監督の「カメラを止めるな!」(2018年)のヒットを受け、俳優オーディションには約430人が集まった。ベテランの近藤芳正さん以外は無名の新人。埼玉県に実際にある民宿で撮影し、「これから世に出て行く人たちが魅力的に見えるように、映画が豊かになるように」と、脚本もどんどん変えていったという。
 辻野さんは「映画で成功しなかったら滋賀に戻って暮らすのもいいなと思っていた。僕自身に帰るべき場所がある、というのが映画のベースになっている」と話す。
 24日からイオンシネマ京都桂川(京都市南区)、8月7日から大津アレックスシネマ(大津市)で上映予定。