EPAの発効で関税が撤廃される欧州産輸入ワインのセール準備を進める小売店(京都市中京区・リカーマウンテンRAKZAN三条御前)

EPAの発効で関税が撤廃される欧州産輸入ワインのセール準備を進める小売店(京都市中京区・リカーマウンテンRAKZAN三条御前)

 世界最大級の自由貿易圏となる日本と欧州連合(EU)の経済連携協定(EPA)が1日に発効し、京都や滋賀の小売り各社は関税が撤廃される欧州産ワインなどのセールを始める。国産の食品や農産物は価格競争にさらされる一方、地元清酒業界や農業団体などは輸出拡大に期待を寄せる。

 酒類販売のリカーマウンテン(京都市下京区)は全国122店舗で1日から1カ月間、欧州産ワインのセールを展開する。店舗では大量の欧州産ワインを並べ、スペイン産スパークリングワインで1本750ミリリットルを598円から200円引き下げるなど、計21点を大幅に値下げする。澤井基宏・洛央ブロック統括部長は「増税や若者の酒離れなど逆風続きの酒販業界には久々のチャンス。容量換算でビールより安くなるワインも多く、たしなむ人が増えそう」と声を弾ませる。

 欧州産ワインは15%か、1リットル当たり125円の関税が即時撤廃される恩恵は大きく、スーパーの平和堂(彦根市)など小売り各社が次々とセールを始める。

 一方で、迎え撃つ国内ワイナリーの丹波ワイン(京丹波町)では、藤田隆文社長は「欧州と日本のワインはもともと好む層が違い、深刻な影響はない。むしろワインファンが増えてプラスになる」と前向きに捉える。

 欧州に輸出する清酒の関税も撤廃されるため、輸出拡大に動く業界もある。ジェトロ京都と伏見酒造組合(伏見区)は1月下旬、EU5カ国で輸入卸を手掛けるバイヤーを伏見に招き、各蔵元で商談が繰り広げられた。

 参加したオランダ人バイヤーは「日本酒は品質が高く、地元のレストランが取り扱いを始めるなど市場拡大が見込める」と話す。同組合の増田徳兵衛理事長は「国内の清酒市場が縮小する中、伏見という産地を前面に出して輸出に弾みを付けたい」と意気込む。

 EPAの発効でほかにチーズや野菜、果物などの関税も徐々に引き下げられる。JA京都中央会の中川泰宏会長は「緑茶の関税撤廃で、高級茶を中心に輸出が伸びる」と指摘。一方でチーズの輸入拡大に伴い、北海道の生乳がチーズ以外の乳製品に回されると予想し、「生乳の供給増により京都などの酪農が影響を受ける恐れがある」と懸念する。

 日欧EPAと昨年末に発効した環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)によって自由貿易圏が大きく広がる。信用調査会社の東京商工リサーチでは、海外の取引相手の信用面を調査する依頼が出てきている。京都支店(下京区)の柑本英人支店長は「海外で事前に取引先がしっかり事業をしているかは重要で、調査を望む中小企業は京都でも今後増えていく」とみている。