貫通して光が差し込むトンネル式放流設備(22日午後3時、京都府宇治市・天ヶ瀬ダム)

貫通して光が差し込むトンネル式放流設備(22日午後3時、京都府宇治市・天ヶ瀬ダム)

天ケ瀬ダムのトンネル式放流設備が貫通。厚さ1.5メートルの岩盤に重機で穴があけられ、光が差した(22日午後2時54分、京都府宇治市)

天ケ瀬ダムのトンネル式放流設備が貫通。厚さ1.5メートルの岩盤に重機で穴があけられ、光が差した(22日午後2時54分、京都府宇治市)

トンネル式放流設備の概要(国土交通省近畿地方整備局提供)

トンネル式放流設備の概要(国土交通省近畿地方整備局提供)

 宇治川にある天ケ瀬ダム(京都府宇治市槙島町)を機能強化する国土交通省近畿地方整備局の再開発事業で、ダム湖の水を最大毎秒600トン流せるトンネル式放流設備(全長617メートル)が22日、貫通した。既存のダム本体と合わせて放流能力が同1500トンに拡大することで、宇治市など下流に向けた洪水調節能力の増強と、上流の滋賀県での浸水被害軽減を見込む。トンネルを含む再開発事業の完成は2021年度末の予定。

 トンネルはダム本体の左岸側を迂回する。ダム湖から流入した水は直径10・3メートルの導流部を下った後、水の勢いを緩める幅23メートル・高さ26メートルの減勢池部に達し、宇治川に流れる。水路トンネルとしては国内最大級。この日の貫通は報道陣に公開され、流入部と導流部をつなぐ厚さ1・5メートルの岩盤を工事業者が重機で穴を開けた。貫通後も減勢池部の内側工事などを続ける。

 天ケ瀬ダムでは豪雨時、ダム湖で水をためながら、その一部を宇治川に放流する。トンネルが加わって放流能力が強化されることで、宇治市など下流への洪水調節機能がより長く持続し、規模の大きい豪雨にも対応しやすくなる。上流の滋賀県にとっては琵琶湖の水位がより早く低下するようになり、琵琶湖沿岸部の浸水被害が軽減する。

 利水活用も増え、京都府は新たに1日約5万2千トン(約17万人分)の水道水を確保できる。また水を早く放流できるため、雨の多い夏場でも、天ケ瀬ダム上流にある揚水発電用の喜撰山ダム(宇治市)が多くの水を送れ、新たに11万キロワットを電力供給できる。

 天ケ瀬ダム再開発事業を巡っては、当初330億円と想定していた事業費が、トンネル工事現場付近でもろい地層が見つかったり、人件費が高騰したりで、660億円に倍増。完成時期もたびたび延びて21年度末となっている。