安楽死の4要件とは

安楽死の4要件とは

 故意に患者の死期を早める措置をすれば、医師や看護師でも殺人罪に、本人同意があっても嘱託殺人罪や自殺ほう助罪に問われる。

 判例では、医師ががん患者に塩化カリウムを注射した東海大病院事件の横浜地裁判決(1995年)が、「積極的安楽死」4要件で▽患者の耐えがたい肉体的苦痛▽生命の短縮を承諾する患者の明確な意思表示▽死が避けられず死期が迫っている▽苦痛の除去などのため方法を尽くし、他に代替手段がない―といった厳格な要件を示した。

 川崎協同病院事件の東京高裁判決(2007年)は、治療停止について「自己決定権といえるかどうかや、どの段階を無意味な治療とみるかなど、いずれのアプローチにも解釈上の限界がある」と述べた。

 富山県で患者7人が死亡した射水市民病院事件など、地検が医師を嫌疑不十分で不起訴にする例が相次ぎ、立件事例も近年は著しく減った。終末期の措置と死亡との因果関係を立証するハードルは高い。

 日本医師会が2008年に公表した「終末期医療に関するガイドライン」では、終末期医療の差し控え/中止の要件が示された。 要件としては①死が避けられない終末期状態( 1人の医師ではなく、多職種によって構成される医療・ケアチームで判断する)②差し控えや中止を求める患者の意思表示がその時点で存在することを要件とし、積極的安楽死や自殺幇助等の行為は行わないことが明示された。


 さらに日本医師会は2014年、尊厳死の法制化に慎重な立場をとること、むしろ日本医師会を含む関係機関が作成した終末期医療をめぐるガイドラインを遵守することで法的な免責も受けられることが望ましいと明言した。

 また2012年に超党派の議員連盟が尊厳死法案をまとめたが、反対が根強く、法案提出には至っていない。