子どもの7人に1人が貧困状態という厳しい現実を看過するわけにはいかない。

 新型コロナウイルスの感染拡大に伴う景気の悪化で、さらなる深刻化が懸念される。支援の行き届かない子どもをなくす、きめ細かな対策が急務だ。

 厚生労働省が公表した2019年国民生活基礎調査で、子どもの貧困率は18年時点で13・5%だった。平均的な所得の半分に満たない家庭で暮らす18歳未満の割合を示し、前回(15年時点)13・9%からほとんど改善されなかった。

 貧困率は00年以降13~16%台で推移し、抜本的な改善に程遠い。親から子への貧困の連鎖を断ち切る総合的な取り組みを進める子どもの貧困対策推進法が14年に施行され、昨年改正された。それでも貧困率が先進国の中で高水準というのは残念と言うほかない。

 とりわけ厳しいのが母子家庭などひとり親の世帯だ。貧困率はようやく5割を切ったとはいえ、なお48・1%と高い水準にあり、苦しい生活実態が浮かび上がった。

 ひとり親の多くは育児と仕事を1人で担うため、収入の良い安定した仕事に就けずパートなどで複数の仕事を掛け持ちしているケースが少なくない。調査時点の18年までは景気回復により収入がやや増えたものの、母子家庭の9割近くは「生活が苦しい」と回答。子育てに追われ、生活費や教育費のやりくりに苦労する家計事情がうかがえる。「アベノミクス」の経済対策は、貧困層にまで支援が行き届かなかったようだ。

 加えて今、コロナ禍が苦境に陥りやすい低所得層の暮らしを直撃している。唐突な全国一斉休校は家庭に重い負担を強い、特にひとり親家庭へのしわ寄せは大きかった。オンライン学習の機器整備なども家計に左右される。

 国は児童扶養手当を受給するひとり親家庭などに最低5万円を臨時給付するが、一時的な支援では問題は解決しない。暮らしや学びの不安解消に向け、国や自治体は相談支援体制の拡充や学校との連携強化など、積極的に子どもたちを支える対策が求められる。

 子どもの現在と将来が、生まれ育った環境に左右されてはならない。子育てや貧困を家庭だけの責任とせず、地域や社会全体で課題を解決する仕組みが欠かせない。

 国は昨年11月、子どもの貧困対策大綱を閣議決定した。「仏作って魂入れず」は許されない。子どもの貧困解消は待ったなしであり、実効性が問われる。