本来なら、きょうは東京五輪の開会式があるはずだった。

 延期後の来夏に向けて準備が進むが、国内では新型コロナウイルス感染が再拡大している。

 本当に開催できるのか。

 組織委員会は先ごろ、競技日程の枠組みと会場を維持すると発表した。当初計画から大きな変更はない。今後は感染防止策のほか、経費節減のため運営の簡素化を検討するとしている。

 ただ、五輪を取り巻く環境は様変わりしている。世界的なコロナ感染の収束が見通せず、従来通りに開催できると考えるのは難しくなっている。

 何のための五輪か。この状況で開催する意味があるのか。実施するならどのような形が望ましいか-。現実をふまえ、冷静に議論を深める必要があろう。

 大会運営を巡って、国際オリンピック委員会(IOC)のバッハ会長は観客数削減に言及した。以前には「来夏の開催が無理な場合は中止」とも語っている。来夏開催への決意を示すとともに、再延期はありえないことを明確にしたといえる。

 ただ、IOC内部にはコロナ危機の先行き不安から、来夏の実施も難しいとの見方もある。

 気になるのは世論の見方だ。共同通信の全国調査(今月17-19日)では、来夏の五輪について、開催すべきが23%だったのに対し、再延期すべきが36%、中止すべきは33%に上った。

 再延期、中止とした人が挙げた理由では、世界的にコロナ感染が収束するとは思えない-とする意見が7割以上を占めた。

 五輪への期待よりも、コロナ感染を懸念する人が多いことを物語っている。こうした声を無視することはできまい。

 開催する場合、感染防止対策は万全にできるか。最も問われる課題だが、簡単ではない。

 五輪には世界から選手・コーチが約1万人、メディア関係者約2万8千人が詰めかける。ボランティア約8万人のほか、清掃や飲食などの契約業者も関わり、行動の管理は難しい。

 感染リスクをどのように抑え込むか、緻密なプランづくりが欠かせない。

 運営の簡素化も難題だ。延期に伴う追加費用は3千億円規模とみられ、コスト削減と新たな財源の確保が求められている。

 組織委は、選手村入村式の簡略化や競技会場の装飾削減のほか、聖火リレーや開閉会式も見直しの対象にしている。

 加えて、スポンサー契約を結ぶ企業に対して協賛金の追加拠出の要請を始めたという。

 ただ、開閉会式の短縮は契約済みの放送権との兼ね合いから困難との指摘がある。簡素化で観客数が削減されれば、企業にとってはPR効果が薄れる。

 五輪には多くの利害関係者が絡むだけに、計画変更の作業は先行き不透明な部分が多い。

 だが、聖域をつくっていては簡素化の議論は進まない。徹底した見直しを図ってほしい。

 コロナ感染の状況次第では、来夏の開催可否について判断を迫られる場面もありえよう。各方面への影響を考え、そのタイミングを間違えてはならない。