クループホームとだ近くを流れる由良川の堤防(道路奥)を指さす山本さん=京都府福知山市戸田

クループホームとだ近くを流れる由良川の堤防(道路奥)を指さす山本さん=京都府福知山市戸田

 熊本県の球磨川などでの豪雨災害を受け、同じ一級河川の由良川中、下流域にある京都府内の4市の福祉施設や防災担当者が警戒感を強めている。球磨川周辺の福祉施設では浸水で多くの入所者が亡くなった。浸水や土砂災害の恐れのある各施設には避難確保計画の作成が義務づけられたが、4市の作成率は半分以下にとどまっている。

 今月の豪雨災害では球磨川が氾濫。熊本県球磨村の特別養護老人ホーム「千寿園」では急激な浸水で入所者14人が亡くなった。2016年の台風10号でも河川氾濫で岩手県岩泉町の高齢者施設の入所者が避難できず、9人の犠牲者が出た。
 国は17年に水防法と土砂災害防止法を改正し、浸水想定区域や土砂災害警戒区域内に位置し、要配慮者が利用する福祉施設や学校、医療施設の管理者に防災体制や避難誘導法を事前に決める、避難確保計画の作成と避難訓練の実施を義務づけた。国土交通省は22年3月末までに全施設の作成を目指している。
 計画は市町村への報告が必要で、綾部市(54施設)の作成率は48%、舞鶴市(187施設)は40%、福知山市(119施設)は21%、宮津市(11施設)は0%となっている。
 由良川近くの福知山市戸田で「みつみ福祉会」が運営する高齢者施設「グループホームとだ」と「ケアハウスとだ」では18年に避難確保計画を作成、避難訓練も行っている。
 一方、独自の避難マニュアルは09年に作成し、職員がインターネットやテレビで情報収集した由良川の水位を基準に、高台の福祉施設に避難するタイミングを決めた。13年の台風18号では由良川が氾濫して施設は床上浸水の被害にあったが、事前に避難してけが人を出さなかった。
 グループホームとだの管理者山本実さん(45)は「台風より、線状降水帯に伴う降雨の予測が難しい。熊本の被害は人ごとではない。気象情報に注意し、早め早めの避難しかない」と語り、「施設でどんな災害が予想されるかを考えることが、被害の軽減につながる」と指摘する。
 福知山市は福祉施設(65施設)のうち、20施設が計画を作成した。市危機管理室は「コロナ禍で、計画作成の説明会が開けていなかったが、今後、働きかけをさらに強める」とし、避難確保計画の作成がない宮津市も「京都府と協力しながら説明会を行っていきたい」としている。