相楽木綿で作ったマスクを手にする福岡さん(精華町精華台・相楽木綿伝承館)

相楽木綿で作ったマスクを手にする福岡さん(精華町精華台・相楽木綿伝承館)

織物ふすま紙の織機の前で、技術を生かして作ったマスクを手にする福岡さん(木津川市相楽八ケ坪・福岡織布)

織物ふすま紙の織機の前で、技術を生かして作ったマスクを手にする福岡さん(木津川市相楽八ケ坪・福岡織布)

柿渋染めのマスク。大きさや形を変えて7種類ある(木津川市木津町・柿渋Houseみます)

柿渋染めのマスク。大きさや形を変えて7種類ある(木津川市木津町・柿渋Houseみます)

 新型コロナウイルスの感染拡大を防ごうと、特産品を生かしたマスク作りに取り組む企業や団体が、京都府山城地域で増えている。織物ふすま紙や相楽(さがなか)木綿など、地域に伝わる技術を活用したマスクで地元に貢献しようと意気込んでいる。

 木津川市の伝統産業「織物ふすま紙」を製造する福岡織布(同市相楽八ケ坪)は、織物の技術を生かした布マスクを今年5月から作っている。縫製や袋詰めは市内の福祉作業所に委託し、服飾品店などで販売している。

 同社は1927年創業。織物のふすま紙や壁紙を手掛けてきた。新型コロナの影響でマスク不足が深刻化する中、地域住民に届けたいとマスク向けの布を考案した。飛沫を防げる効果を高めるため、織り目をふすま用の布より細かくするなど工夫を凝らす。夏用タイプも7月末ごろに販売予定で「マスクをきっかけに織物ふすま紙を知ってほしい」と福岡善基社長(39)は話す。

 同市相楽地区で明治期から昭和初期にかけて作られた織物「相楽木綿」を使ったマスクもある。精華町精華台のけいはんな記念公園内にある相楽木綿伝承館で、機織り教室などに取り組む相楽木綿の会のメンバーが、3月から手作りしている。

 藍染めに絣(かすり)と色糸で模様を施した布地は、独特の風合いが魅力。今年2月には、府の無形民俗文化財に指定された。3月に30枚限定で作ったところ人気が出たため、量産することになったという。

 感染拡大防止のため、伝承館は9月まで見学などの休止が続く。同会の代表福岡佐江子さん(63)は「マスク作りで地域に役立ちたい」と意気込む。

 コロナ禍で、以前から販売しているマスクの売り上げが伸びたところも。柿渋染め製品を製造販売する柿渋Houseみます(同市木津町)では、子ども用やガーゼ付きなど、マスクの種類を増やして顧客からの要望に対応している。

 「柿渋」は、渋柿を搾った液を発酵熟成させたもので、山城地域の特産。抗菌作用があるとされ、柿渋を知るきっかけにしてもらおうと、2006年の創業時からマスクを製作してきたという。

 新型コロナの感染が拡大するにつれ、マスクを求めて来店する人が増加。「子どもが着けられるサイズがほしい」などの要望を受けて、現在は7種類を取り扱っている。三桝武男代表(88)は「柿渋で染めた布は洗っても乾燥が早く、肌触りも良い。生活の中で取り入れやすいマスクで、伝統の魅力を体感してほしい」としている。