園内2カ所に設置している「ご意見箱」を手にする和田副園長。回答の一部は、正面エントランスの出口付近に張り出している(京都市左京区・市動物園)

園内2カ所に設置している「ご意見箱」を手にする和田副園長。回答の一部は、正面エントランスの出口付近に張り出している(京都市左京区・市動物園)

寄せられた質問と回答の一部

寄せられた質問と回答の一部

キリンの睡眠時に関する質問と回答。読んでもらいやすいようA4判1枚にまとめ、写真も添えている

キリンの睡眠時に関する質問と回答。読んでもらいやすいようA4判1枚にまとめ、写真も添えている

 カバは一日どれくらい水から出ているの?―。京都市動物園(左京区)が、来園者から寄せられる動物の行動や生態についての疑問に答えている。15年近く続け、回答数は300を超えた。園は意見や質問を掲示物や企画にも反映させており、担当者は「お客さんのニーズを知り、応えていきたい」と意気込む。

 園は「ご意見箱」を2カ所に設置し、来園者から質問や意見を募っている。当初は参考にするだけだったが、疑問や関心に応えようと、2006年から「あのね! どうして!?」と称し、和田晴太郎副園長らが回答を始めた。質問分野は、動物の食事や睡眠、行動特性や身体構造など幅広く、和田さんは「『よく観察しているなあ』と感心することも多い」と話す。

 例えば「(アジアゾウの)美都ちゃんの足の裏がパキパキ(乾燥)に見えました。いたくないの?」と体調を気遣った質問。「後ろ脚の内側は尿がかかって荒れがち。飼育担当が洗ったり冬場はワセリンを塗ったりとケアしています」と、裏話を紹介しながら、丁寧に解説している。

 カバが水から出ている時間を尋ねた質問には、餌を食べている時など1~2時間だけという生態を紹介。水から上がる姿は迫力があり、「気候が良くなるとグラウンドでお昼寝している姿も見せてくれるかもしれません」と返答した。

 職員に関する質問もちらほら。「動物になぜきらわれない?」には、「嫌われないことはありません」と率直に回答。獣医師は過去の治療や検査を覚えているゾウやゴリラなどに嫌われやすく、女性職員をライバル視するシロテテナガザルや、男性を嫌う傾向にあるオオバタンもいる、という。

 回答は文献を調べたり飼育員に聞いたりして作成する。読んでもらいやすいよう写真を添えてA4サイズ1枚にまとめ、園の公式サイトなどに掲載。園内の掲示板やガイドの説明にも反映させるほか、給餌を見学できるイベントの実施や、会員制交流サイト(SNS)での情報発信にもつなげている。

 一方、外国人を中心に「狭い場所で飼育されていてかわいそう」といった趣旨の意見も届く。園は近年のリニューアルに伴って「動物福祉」に力を入れ、種類を減らすことで1頭当たりのスペースを広げたり、餌の内容や病気のケアを変えたりと飼育方法の改善に努めている、という。

 和田さんは「動物や園のことを知ることで見方も変わる。自分の目でじっくりと観察するきっかけにしてほしい。今後は園の役割や運営面の情報も積極的に伝えていきたい」と話す。