中京署から移送される大久保容疑者(24日午後1時57分、京都市中京区)

中京署から移送される大久保容疑者(24日午後1時57分、京都市中京区)

 神経難病の筋萎縮性側索硬化症(ALS)の女性患者に対する嘱託殺人の疑いで医師2人が逮捕された事件で、殺害された女性の遺体から、鎮静作用がある「バルビツール酸系」の薬物が検出されていたことが24日、捜査関係者への取材で分かった。鎮静薬や麻酔薬などとして用いられており、欧米では医師による安楽死や死刑執行の際に使われることもあるという。


 京都府警は、大久保愉一[よしかず]容疑者(42)と山本直樹容疑者(43)が、亡くなった京都市中京区のALS患者林優里[ゆり]さん=当時(51)=に薬物を投与したとみており、入手ルートなどを調べている。
 バルビツール酸系の薬物は、脳の興奮を抑える作用があり、睡眠薬や抗てんかん薬などとして通常の医療現場で用いられている。即効性の高さが特徴だが、過剰に投与すれば呼吸低下などが引き起こされる危険性がある。難病に詳しい神経内科医は「ALS患者に用いることは通常ない」と話している。
 捜査関係者によると、林さんは管を通して胃に直接栄養を送る胃ろうを腹部に造設していた。両容疑者は胃ろうから致死量の薬物を投与した可能性が高いとみている。
 また、捜査関係者の説明では、林さんから山本容疑者の口座に現金130万円が振り込まれていた。府警は事件の報酬とみて経緯を調べている。
 府警は24日、両容疑者を嘱託殺人容疑で送検した。大久保容疑者は午後2時ごろ、移送車両に乗って留置先の中京署を出た。頭からフードをかぶってかがむような姿勢で、表情はうかがえなかった。
 逮捕容疑は共謀して、林さんから自身を殺害するよう頼まれ、昨年11月30日午後5時半ごろ、林さんのマンションを訪れて致死量の薬物を投与し、急性薬物中毒で死亡させた疑い。