まだ梅雨明けはしていないが、暑い日が続く。これまで一度だけ、約50度という気温を体感したことがある。世界気象機関(WMO)が世界最高気温と認定する56・7度(1913年)を記録した、米カリフォルニア州の「デスバレー」だ▼広大な砂漠が周囲に広がり、日本語で「死の谷」という名の通り、とても人が住める場所ではない。暑さを通り越して肌は刺されるように痛く、息をするのも苦しい。10分ともたず車へ逃げ込んだ▼きょうは「最高気温記念日」。33(昭和8)年、山形市で40・8度に達し、国内初の40度超えを記録したことにちなむ。とんでもない気温だと思っていた子どものころが懐かしい▼その記録は色あせた。現在の国内最高は埼玉県熊谷市の2018年の41・1度。40度超えのニュースに驚かなくなった。先日の本紙では、全国の県庁所在地で10年代に35度以上の猛暑日を記録した年平均日数で京都市が最多と報じられていた▼まさか日本が死の谷のようになるとは思えないが、冷房や水分補給なしに人が住める場所ではなくなりつつある気がする。マスクをしていると息も苦しい▼1世紀前の世界記録は破られていないが気候変動の影響はすさまじい。ようやくマスク姿をみせた、かの国の大統領も少しは実感しているだろうか。