旅行にキャンプ、海水浴。例年なら夏休みが始まり、子どもたちはわくわくしている頃だ。しかし今年は新型コロナウイルスの影響で多くの学校では授業が続いている▼京都府内の全小中学校で休校による学習の遅れを取り戻すため夏休みが短縮された。大半で始まるのが8月からとなり、2週間の自治体もある。京都市では休み中のプール開放もなく、何とも味気ない「子ども時代の一こま」と記憶に残るかもしれない▼自身の子ども時代を<『明朗』どころではなかった>とSF作家の故小松左京さんは自伝的小説「やぶれかぶれ青春記」で振り返る。きょうで亡くなって9年になる▼小松さんの少年期は戦争と共にあり、同書に夏休みの話は出てこない。小学生の時に日中戦争や太平洋戦争、中学生では学徒出陣が始まった。教師から理不尽な扱いも受け続けた▼しかし小松さんは若さの中には底抜けの明るさや強靱(きょうじん)さが含まれていると説いた。おかげで気が変になりそうで陰惨な時期を切り抜けられた、と。その後、京都の旧制三高に入学、息苦しさから解放された日々を人生で最高だったとも記す▼学校再開後、子どもたちには厳しい毎日が続くが、この経験は将来きっと生かされるはずだ。小松さんのように明るく前向きに最高の日が来ると信じたい。