総務省が2018年の人口移動報告を公表した。

 東京圏では、転入者が転出者を上回る「転入超過」が13万9868人に達し、前年より増えた。

 報告は今回から外国人の動向も含めた。日本人に限れば東京圏の転入超過は23年連続となる。

 安倍晋三政権の看板政策「地方創生」は、東京圏の転入超過を20年に解消するのが目標だ。だが、効果は見えず、むしろ東京一極集中の拡大が止まらない。

 東京五輪・パラリンピックを控え、こうした流れは当面続くことになるのではないか。

 19年度は地方活性化策をまとめた「まち・ひと・しごと創生総合戦略」の新たな5カ年計画を策定する年となる。現在の総合戦略は、政府機関や企業の地方移転、若者の移住促進、農村部の集落機能強化などを展開してきた。

 だが、目玉とされた中央省庁の地方移転も、京都への文化庁移転などが決まった程度だ。成果は限定的で、人の流れを変えるインパクトに欠けている。

 地方の再生は容易ではない。これまでの延長線上ではなく、大胆な政策の見直しを求めたい。

 報告によると、都道府県別では東京圏の4都県と愛知、滋賀、大阪、福岡の計8都府県が転入超過だった。転出超過は39道府県にのぼり、市町村でみると全体の72・1%を占める。

 滋賀県の転入超過は注目されるが、人手不足の製造業を中心に、近隣の都市部で講習を受けた外国人の技能実習生の転入が増えたのが要因という。

 4月から外国人労働者の受け入れが拡大する。人口の大都市集中がさらに進むことにならないか、影響が心配される。

 首相は施政方針演説で「地方が自らのアイデアで自らの未来を切り開く。これが安倍内閣の地方創生です」とアピールした。

 だが、厳しい現実から目をそらしてはいけない。

 地方で暮らし、働くことに相当なメリットがあると多くの人が実感できる施策が求められる。政府が交付金で誘導するような中央集権型では限界があるだろう。

 各自治体でも人口減少を食い止めようと「地方版総合戦略」に基づく対策に取り組む。中には5年連続で転入超過となった大分県豊後高田市など移住者の増加に成功したケースも見られる。

 こうした市町を増やしていきたい。地方への財源と権限の思い切った移譲を進めるべきだ。