15年以上たっても、達成にほど遠いのはなぜか。私たちの社会のあり方が問われる。旗振り役としての政府の責任は重い。

 「2020年までに指導的地位に占める女性の割合を30%にする」―。政府が03年に掲げたその目標を断念し、「できるだけ早期に(達成する)」との表記に変更するという。

 今後5年間の「第5次男女共同参画基本計画」で、12月にも政府が閣議決定する。事実上の先送りである。

 安倍晋三政権は「女性が輝く社会」をうたい、女性活躍を成長戦略の柱に位置づけてきた。看板政策でつまずいた形だ。

 足元の政治分野ですら達成できていない。14年9月の内閣改造で女性閣僚を5人登用したが、30%を満たしたのはこの時のみ。その後は減少が続き、現在は3人となっている。

 これでは取り組みの本気度が問われても仕方ない。

 単なる掛け声で終わらせぬよう、なぜ目標達成に至らなかったのか要因を分析し、次の政策に反映させるべきだ。

 「大きな目標を掲げなければ取り組みは進まない」との批判も出ている。具体的な達成期限は必要ではないか。

 企業や公務員の女性管理職は19年時点で14・8%にとどまる。米国やスウェーデンが40%超、英国やノルウェー、フランスも30%超で、他の先進国と比べても開きは大きい。

 ほかにも衆議院議員が9・9%、地方議会が14・3%と低迷している。女性議員が1人もいない地方議会もある。

 環境整備への取り組みは一定は進んだ。大企業や国、自治体に女性の登用目標などの策定を義務付けた「女性活躍推進法」が成立して5年になる。

 選挙で男女の候補者数をできる限り均等にする努力義務を課した「政治分野の男女共同参画推進法」も議員立法によって誕生した。

 だが、選挙での女性候補擁立の動きは鈍い。旧態依然とした選挙や議会のあり方がネックになっていないか。

 育児・介護休業法など、仕事と子育ての両立支援の制度も整えられてきたが、長時間労働を前提とした男性中心型の労働慣行は残ったままだ。

 リーダーシップを発揮すべき立場の人の認識も問われる。昨年2月、少子高齢化問題を巡って麻生太郎副総理が「子どもを産まないほうが問題だ」と発言し、批判を浴びた。

 労働環境など社会的障壁を取り除くのが政治の責務なのに、女性らに責任を押し付けるような考えは、女性活躍の目標とはかけ離れている。

 男女格差を指数化する世界経済フォーラムの「ジェンダーギャップランキング」で日本は153カ国中、過去最低の121位に落ち込んだ。

 専門家は、意思決定に女性の関与が少ないままでは国際社会や市場の変化についていけないと警鐘を鳴らし、積極的な是正措置が必要だと訴える。

 女性登用へ社会全体で取り組まねばならない。政府は目標を掲げ、範を示してほしい。