情熱と冷静の深い絆

 日本画の巨匠・横山大観(1868~1958年)には、心許せる友がいた。新たな画風の研究を重ね、近代日本画を、ともに確立した菱田春草(1874~1911年)だ。

菱田春草「早春」

 情熱的な大観と冷静な春草は、まるで火と水のような存在。対照的な性格の2人だが、美術学校時代から仲が良く、互いの才能を認め、模写にいく時も、米欧に遊学した際も、行動をともにした。「出かけるときは、いつでも二人は一緒でした」。著書に記された大観の言葉から、春草に寄せた信頼と絆の深さをうかがい知ることができる。

横山大観「霊峰不二」

 企画展では「霊峰不二」をはじめとする大観の作品約30点、「青波舟行」など春草の作品約20点を中心に、東京画壇の名匠による約70点を展示する。このうち、大観や竹内栖鳳ら東西大家48人による寄合帖(じょう)「雲錦帖」など約40点が初公開だ。後期(9月2日~10月11日)には、36歳でこの世を去った春草の最後の大作「早春」が登場する。病で目が見えなくなる中、命を削って描いた気迫が伝わる作品となっている。

菱田春草「青波舟行」
横山大観「緑陰高士」
菱田春草「雁之図」

 2人は霧や霞(かすみ)など空気を描写する没線描法「朦朧体(もうろうたい)」を考え出したことでも知られる。会場では、大観の「月明」をパノラマ展示し、朦朧体について解説。大観を中心とした人物相関図も展示する。

雲錦帖(部分)

 担当する中村七海学芸員は「大観と春草の人物像を掘り下げた。2人に親しみを感じてもらいながら見てほしい」と語る。(寺内繭)

下村観山「降魔図」


【会 期】8月1日(土)~10月11日(日)(前期8月1日~31日、後期9月2日~10月11日、 展示替えあり)火曜休館(9月22日開館、23日休館)
【開館時間】午前10時~午後5時(入館は閉館30分前まで)
【会 場】福田美術館(京都市右京区嵯峨天龍寺芒ノ馬場町)
【主 催】福田美術館、京都新聞
【入場料】一般・大学生1300円(1200円)、高校生700円(600円)、小中生400円(300円)、 障害者手帳提示の人と付き添い1人まで700円(600円)かっこ内は20人以上の団体。
【問い合わせ】福田美術館075(863)0606