新型コロナウイルスの感染が再び拡大し、市中には無症状の感染者も多いとみられる。昔見た洋画を思い出し、妊婦が心配になった▼「クリスタル殺人事件」。故エリザベス・テーラーさんが、妊娠初期の病気に苦しめられた大女優を演じた。風疹にかかっていたファンが舞台を見に来て、接触の際にうつされていた。念願の赤ちゃんは障害があった。後に感染原因を知り、事件は起こる▼妊婦がコロナに感染しやすいとのデータは国内外とも確認されておらず、感染した場合の胎児への感染もほぼないという。だが世界保健機関(WHO)などは「持病がある」「高齢」と並んでリスクのあるグループに分類している▼妊娠中は投薬や検査に制限があり、安全に出産できるよう感染予防を徹底したい。そのためにも周囲の慎重な行動と細やかな配慮が要る▼気がかりなのは移動時の感染不安から、里帰り出産をしたくても、あきらめる人が多いことだ。外出控えの一方で、政府の観光支援事業「Go To トラベル」が始まり、人の往来が増え始めた。遠出は一般の人でも迷うが、妊婦はもっと悩む▼アカデミー賞を2度受賞した名優が感染理由を知った時の、凍り付いたような表情が印象に残っている。母親と赤ちゃんを社会全体で守り抜く知恵を出したい。