コロナ禍の影響でランチ営業に乗り出した居酒屋「宝堂」(京都市下京区)

コロナ禍の影響でランチ営業に乗り出した居酒屋「宝堂」(京都市下京区)

 新型コロナウイルスの影響で客足が激減した京都市内の居酒屋がランチ営業に相次いで乗り出している。大幅減収した売り上げの穴埋めや新規顧客の開拓を期待する一方、昼営業は利幅が薄く、競争激化で撤退する店も増加。売り上げの回復が遅れる中、店主たちは、感染の「第2波」への懸念を深めている。

 白米を覆う海鮮8種の贅沢(ぜいたく)丼と、ハラミ焼き200グラムを大胆に乗せた上ハラミ丼―。大衆居酒屋「宝堂」(下京区新町通四条下ル)は2種類のどんぶりを各980円で提供する。「本来なら1400円にしたいところだが…」。田川裕仁店長は苦笑する。

 緊急事態宣言が京都府に発令された4月中旬、夜の集客は当面見込めないと判断してランチ営業を開始した。宣言解除後の6月以降は、四条烏丸のオフィス街の会社員らが徐々に利用してくれるようになった。

 「夜の宴会はお客さんが警戒している感じがあるが、昼は気にせず来てくれる」と田川店長。ランチは夜の単品メニューと比べて原価率が高く、収益への貢献は少ない。それでもランチで新しい客層を引き寄せられるとみる。

 6月中旬からランチに本格参入した「ぴん」(下京区仏光寺通室町東入ル)は、左京区大原や北区上賀茂の有機野菜を使用したイタリアン風のランチ(千円)が売りだ。串焼きなどの夜メニューとは一線を画し、女性客の取り込みを狙う。

 売り上げは回復傾向にあるとはいえ、7月は祇園祭の山鉾巡行もなく、「前年の半分に届けば上出来」という。白波瀬昌義店長は「ランチは他店との差別化に力を入れている。同じ家賃を払うのだからお昼の時間も無駄にしたくない」と前を向く。

 ただ、コロナ禍で多くの飲食店がテークアウトを行うなど、オフィス街では会社員の胃袋をつかむ「ランチ競争」が過熱。人通りが完全に戻らない中、昼の営業ではスタッフの人件費もかかるため、撤退する店も続出している。

 店主たちが最も気に掛けているのは、現実味を帯びつつある第2波の動向だ。京都市でも6月30日に飲食店でクラスター(感染者集団)が発生するなど、飲食を伴う会合での感染例が府内で増えており、京都府の西脇隆俊知事が注意を呼び掛けるに至った。

 ある店主は「第2波が来れば、もう店をやめないといけなくなるかもしれない…」と漏らし、行政の休業要請に応じた場合の補償を訴えている。