加地織物の西陣織マスク

加地織物の西陣織マスク

色にこだわった富宏染工のマスク

色にこだわった富宏染工のマスク

ミツフジの「100回洗える夏マスク」

ミツフジの「100回洗える夏マスク」

縦方向にワイヤを入れたラ・アンプルールの「呼吸しやすいマスク」

縦方向にワイヤを入れたラ・アンプルールの「呼吸しやすいマスク」

 新型コロナウイルスの感染拡大を受け、マスクの生産・開発に、京都のメーカーが乗り出している。繊維やエレクトロニクス、伝統工芸など多様な製造業が作る独創的な“メーカーノマスク”が出回り始めている。

 衣類の技術を応用しやすく、原材料の調達網や販売網を持つ繊維業界はいち早くマスク生産を始めた。グンゼは7月にクールタイプの布マスクを発売。冷たく感じる素材で型崩れしにくい。自社のノウハウで肌触りにもこだわった。5月に発売した綿混素材のマスクも快適な着け心地と好評で、一時品薄になるほどの人気に。夏用と合わせ、今月から月50万枚を国内工場で一貫生産する。

 ウエアラブル製品を開発するミツフジ(京都府精華町)は、抗菌効果が高い専用糸による「夏マスク」を6月に発売。ルーツである西陣織の技術を応用し、抗菌・防臭効果のある銀メッキ繊維と医療用の制菌糸などを組み合わせた専用糸を開発。耐久性も高く、100回洗えるとPRする。

 「呼吸しやすいマスク」をアピールするのは、衣類縫製のラ・アンプルール(京都市山科区)。縦方向にワイヤを入れ、鼻と口の周辺に隙間を設けた。アパレル業界の経営環境は厳しいが、田中裕久社長は「ピンチをチャンスに変えて苦境を脱する」と意気込む。

 京都の伝統産業界からは匠(たくみ)の技を駆使し、色や柄、機能性に優れた個性的なマスクが続々と生まれている。

 西陣織メーカー、加地織物(上京区)は、迷彩柄や金糸のライン入りなどの西陣織マスクを開発。インテリア向けに用途が広がる金襴(きんらん)でデザインし、スポーツウエア用の生地を裏地に使い、家庭で手洗いできる。5月の発売後、予想を上回る大ヒット。急きょ増産体制を整えた同社は「西陣織の柄の美しさ、上品さ、高級感に加え、機能性も追求した」(インテリア事業部)という。

 手描き染匠(せんしょう)の富宏染工(中京区)は、伝統技法でシルクのマスクを作った。自然の色をイメージした手染めの無地10色と、海や空を表現した型染めの柄2色。無地マスクには「邪気払い」などの言葉も添えている。

 環境にやさしいマスクも登場した。素材開発ベンチャーのTBM(東京)と樹脂改良材を手掛ける子会社のバイオワークス(精華町)は、トウモロコシなどのでんぷんで作った生分解性プラスチックの糸で編んだマスクを販売する。手術の縫合糸に使われるなど安全性が高く、使い捨てマスクのように石油由来の樹脂を使わない。4月の発表後、国内外100社以上から引き合いがある。

 一般向けではなく、従業員やその家族向け限定でマスクの「自給自足」に挑む企業も。川島織物セルコン(左京区)は、自社製インテリア生地の端材で従業員がマスクを手作りした。綿のマスクは商品化も検討中という。下着大手のワコール(南区)は、タイ工場が下着生地の余った素材でマスク20万枚を製作。九州の工場でも約7万枚を製作し、約4万5千枚を全従業員に配布、2万枚を京都市に寄付している。