職員の不祥事や町長と議会との紛糾が続く甲良町の役場。町長選では不祥事の再発防止のほか人口増や財政も政策課題になる(甲良町在土)

職員の不祥事や町長と議会との紛糾が続く甲良町の役場。町長選では不祥事の再発防止のほか人口増や財政も政策課題になる(甲良町在土)

 滋賀甲良町の野瀬喜久男町長(68)の辞職に伴う出直し町長選の告示が5日(10日投開票)に迫った。不祥事撲滅を掲げて一昨年に野瀬町長が就任した後も職員の不祥事はなくならず、町長自身も選挙資金などを巡る公職選挙法違反を指摘された。町政の混乱が続く一方で、人口減少や財政の硬直化などの暮らしにかかわる問題は山積している。告示を控え、町政の課題を探った。

■町政立て直すはずが

 「行政内で起きたとんでもない間違い。職員の処分を考えていかなくてはならない」。1月9日に町議会が開いた個人情報流出問題の調査・検証特別委員会の初会合。西澤伸明委員長は町幹部が出席する前で、不祥事の責任を厳しく追及した。

 昨年11月下旬、町民の氏名や税額が記載された税務資料の原本が流出し、町民に渡った。原因について町は当初、情報公開請求の交付資料の中に誤って混じったとみていたが、その後の調査で職員が意図的に持ち出した可能性が高いとし、彦根署に被害届を提出。議会が特別委を立ち上げる事態に発展した。

 元職員が公金横領で有罪判決を受けたり、前町長が町議選当選者にビール券を贈ったりするなどの相次ぐ不祥事を受け、「町政の立て直し」を公約として2017年10月の町長選で初当選した野瀬町長自身にも問題が浮上した。町長選用のはがきやビラで推薦を受けていない団体を推薦団体とした虚偽記載で町議から大津地検に告発され、知人から借りた選挙資金の収支報告書未記載を指摘された。

 揺れる町政に町民の視線は厳しい。同町の主婦(72)は「なぜ町長が代わっても不祥事が続くのか。役場全体に締まりがない。話し合うべき町政の課題があるのに」と憤る。

■進まぬ施策

 町は県内で最も人口が少なく、近隣市町に流出が続く。人口は1985年ごろから減り始めて現在は7千人を割り、2割以上減った。推計では40年に約4600人に減少し、少子高齢化にも拍車がかかる。

 対策を打とうにも、これらの状況が財政に響く。人口減や立地企業の不況に伴う町民税の減少で17年度決算の自主財源は35・0%にとどまる。義務的経費の割合を示す経常収支比率も94・9%に。財源不足で手詰まりになる悪循環が進む。

 町が打開策に打ち出した町南部の工業団地計画も依然として止まったままだ。町有地約28・9ヘクタールの開発と企業誘致を委託する中間業者が見つからず、町は製造業に限定していた従来の誘致方針を転換。ホテルや小売り、ロケ地などに用途を広げたが、具体的な誘致交渉には至っていない。

 名神高速道路湖東スマートインターチェンジに近い好立地だが、一部職員からは「町の方向性が定まらず、誘致企業のターゲットが絞りづらい」と困惑する声が漏れる。

 新町長には庁内を引き締め、少ない財源の中で有効な施策を実行するリーダーシップが求められる。