人間は不便を感じると、何とかしたいと解決策を求めようとするものだ。その含意は英国発祥のことわざ「必要は発明の母」として表される▼発明王エジソンの言葉としてよく知られているが、もともとはスウィフトの「ガリバー旅行記」に出てくる。馬の国(フウイヌム国)で苦心して家を建て、食料を調達するガリバー。生活必需品を工夫して手作りしていく暮らしの中からにじみ出た言葉だった▼新型コロナウイルスにより多くの事業者が経験のない危機に見舞われている。だが、コロナ禍はその脅威ゆえに多くの「発明の母」をもたらす側面もあった▼植物由来の抗菌マスク、足踏み式の消毒液スタンド、PCR検査用の組み立てブース、ロボットアームによるマスク製造装置、つり革をつかめる銅フック―。京都の中小企業からはピンチをチャンスに変える知恵の詰まった新製品が次々と生まれている▼これらの品々は平時では決してなかったアイデアだろう。もしエジソンがコロナ禍に直面していたら必要に駆られてさまざまな発明をしていたかもしれない▼当面は人間とウイルスの共存が続く。第2波に向けて下を向いてばかりもいられまい。コロナに打ち勝つために京都が誇る中小企業のイノベーションが新しい暮らしを照らす光となってほしい。