児童虐待がエスカレートする家庭では、夫婦間のドメスティックバイオレンス(DV)が関連していることが多い。

 被害が深刻な事態になるのを防ぐためには、虐待とDV双方の支援機関が連携を強めて対応する必要があるが、まだまだ十分とはいえないのが現状だ。

 厚生労働省が全国の児童相談所と配偶者暴力相談支援センターに2018年度の連携状況を尋ねた調査では、回答した児相の4割超、センターの3割超が、連携した事案はないとしている。

 家庭内の暴力の芽をできるだけ早く摘み取れるよう、包括的な支援に向けた協力関係の構築を急ぎたい。

 児童虐待とDVとの密接な関係を強く印象づけたのは、一昨年に東京の5歳女児、昨年に千葉の小学4年女児が虐待死した事件だ。

 国や県の検証報告は、いずれも父親による母親へのDVの疑いを虐待に関連付けた対応が不十分だったと指摘した。

 事件を教訓に、今年4月に施行された改正児童虐待防止法などに児相とセンターなどの連携強化が明記されたが、壁の一つとなっているのが縦割りの行政だ。

 窓口になる自治体では、虐待とDVの対策担当が分かれ、根拠法もそれぞれ異なる。所管も児相は厚労省、センターは内閣府だ。

 加えて、厚労省の調査では「支援対象に介入する児相と、DV被害者の相談を待つセンターでは対応に温度差がある」(児相)、「保護や支援の考え方が異なり、情報提供が一方通行になる場合がある」(センター)など、支援や介入についての双方の見解の違いを指摘する意見もあった。

 幼い命を守るには、虐待とDVの問題は同根との認識を共有し、連携の壁をできるだけ低くしなければならない。

 厚労省は調査結果を踏まえ、連携強化の指針を初めて策定した。

 虐待・DVに対応する各担当は情報の共有に加え、それぞれの機関の役割や支援内容を相互に理解することが重要としている。

 内閣府もDV防止や被害者保護のための基本方針の改正にあたり同様の内容を入れており、一体的対策に乗り出したのは一歩前進といえよう。

 専門家からは、将来的にはDVと児童虐待を包括的に「家族の暴力」としてとらえ、対応する法整備が必要ではないかという意見も出ている。

 検討を進めたい課題である。