大津地裁

大津地裁

 滋賀県彦根市の交番で昨年4月に上司の警察官を拳銃で射殺したとして、殺人罪などに問われた当時19歳の元巡査の男(20)=懲戒免職=に対する裁判員裁判の第4回公判が4日、大津地裁(伊藤寛樹裁判長)であった。被害者の井本光(あきら)巡査部長=当時(41)、警部に昇任=の妻が証人として出廷し、涙ながらに夫との思い出などを語り「厳しい処罰をお願いしたい」と訴えた。

 妻の美絵さんは現職の滋賀県警警察官で、被害者参加制度を利用し、これまで全ての公判を傍聴している。

 検察官の質問に美絵さんは、井本巡査部長の人柄を「一緒にいて楽しく安らげる人」とし、結婚して10年ほどたって授かった長男(4)について「本当に誕生を心待ちにしており、『一緒にカブトムシを捕りに行きたい』などと楽しみにしていた」と話した。

 また、事件の一報を聞いて病院に駆けつけると、医師から「もう何の反応もない」と告げられ、心臓マッサージの中止に同意したことを振り返った。

 美絵さんが「長男はまだ死をはっきりと分かっておらず、『パパいつ帰ってくるの』と言い、最後の別れとなった葬儀場名をあげて『行きたい』とせがむ。父親に会えるのじゃないかと思う姿が本当につらい」などと涙ながらに話すと、女性裁判員も目元をぬぐった。証言の直後、元巡査は何かを吐き戻しそうになったような様子を見せ、口元を手で押さえた。

 元巡査が「両親を侮辱された」と供述していることに対し、美絵さんは「そんなことは言っていないと信じています」と主張。検察官からどんな処罰を望むか問われると、「厳しい処罰をお願いしたい」と述べた。

 弁護側は、美絵さんに質問はしなかった。この日午後には論告求刑がある。