母校の京都大でたたずむ吉野彰さん(2018年9月、京都市左京区)

母校の京都大でたたずむ吉野彰さん(2018年9月、京都市左京区)

 京都大出身の吉野彰さんのノーベル化学賞受賞に、京大の同じ研究室で吉野さんと共に学んだ人や、研究者仲間が喜びを分かち合った。
 吉野さんは、38年前にノーベル化学賞を受賞した故福井謙一さんの論文の共同執筆者である故米澤貞次郎さんの研究室で学んだ。当時、米澤研究室で助教授を務めた森島績京大名誉教授(79)は「吉野君は与えられたテーマではなく、自分で考え、他人がやらない研究を粘り強くするタイプだった。研究室で培ったセンスを生かし、自立する心が今の成果につながったのではないか」と喜んだ。
 同研究室で学んだ京大物質―細胞統合システム拠点長の北川進京大特別教授(68)は「先輩が、世界の人々のエネルギー課題に貢献する大きな仕事をされたこと、誇りに思います」とのコメントを出した。
 同研究室で1年後輩にあたる吉川研一同志社大客員教授(71)は「秀才だったが、偉ぶらない人柄。議論をしてもさらっと重要なことを教えてくれる優しい先輩だった」と評する。「電子の状態を見る研究をしていた。その時の基礎があったから、旭化成で専門外の電池の研究を始めても、リチウムという扱いにくい材料を使う発想になったのだろう」と見る。
 同じ分野を研究する人からも功績をたたえる声が上がった。同志社大理工学部の稲葉稔教授(58)は「現代社会の発展に寄与した功績は大きい」と語る。リチウムイオン電池を実装した商品が発売され始めた約30年前を「『究極の電池。これを超える電池は今後出ないのでは』と研究者仲間と言い合った」と振り返る。
 このタイミングでの受賞を「リチウムイオン電池を使った電気自動車の普及が期待されている社会情勢が考慮されたのでは」と推し量った。