菅官房長官

菅官房長官

 新型コロナウイルスの感染拡大で国民の不安が募る一方にも関わらず、8月の菅義偉官房長官の記者会見が減りそうだ。通常は平日に2回行われているが、原則的にお盆前後は閣議開催日のみで、それ以外の日も1日1回となる。夏季の休暇を念頭に内閣記者会の主要な社と諮った上での「慣例」ではあるが、政府の姿勢をただしたり、国民に説明したりする場が減ることを危惧する声も出ている。

 7月30日、夏季の官房長官会見について官邸報道室から内閣記者会に通知があった。8月3~7日と24~31日は1日1回行い、11~21日は閣議がある日に記者会見を行う場合を除き、取りやめとする。ただし、内閣記者会が求める事情が生じた場合には官房長官または副長官の対応について検討する、と記している。

 菅長官は普段、平日の午前と午後に定例会見を開いている。同室によると、8月の会見が減ることについては少なくとも菅氏が長官に就任してから毎年、同様の形を取っているという。

 内閣記者会には2週間前に同室から照会があり、幹事社(7月は読売新聞、日本テレビ)を通じて長官番の記者を常駐させている全国紙や通信社、放送局など16社に意向を確認した。幹事社によると、異論はなかったという。記者会に加盟する京都新聞社など地方紙への意見聴取はなかった。

 7月から全国各地で新型コロナの新規感染者数が再び急増し、政府の観光支援事業「Go To トラベル」を巡る混乱も収まらない中、野党が求める臨時国会の召集に与党は応じず、安倍晋三首相の記者会見も6月18日以降開かれていない。長官会見まで例年通り縮小される状況になれば、政府が説明責任を果たす場は限定的になりかねない。

 専修大ジャーナリズム学科の山田健太教授(言論法)は「深刻化するばかりのコロナ禍に政府としてどう対処するか、政府には可能な限りの説明が求められるが、その政府中枢の官房長官が今の時期に記者会見を減らしたり休むのはありえない対応だ。夏休みの期間とはいえ、今年は例外だろう」と批判する。

 また官邸の意向をそのまま受け入れている記者クラブの対応も問題だとし「安倍政権と同様に、メディアもコロナ禍を、どこか人ごとと受け止めていると言われても仕方がない。市民とメディアのかい離を物語る事態ではないか」と話す。