子どもへの虐待や育児放棄が、後を絶たない。これらの事情で、実の親に育てられない子どもたちがいる。児童養護施設に入所したり、養親のもとで暮らしたりすることになる。

 支援する制度の一つに、特別養子縁組がある。しかし、対象は原則として6歳未満に限られ、見直しが求められていた。

 法相の諮問機関・法制審議会の部会が、小中学生を含む15歳未満に対象年齢を引き上げる民法改正要綱案をまとめた。

 政府は、今国会への法案提出を目指している。

 難しい境遇にある子どもの成長に役立ち、幸福な人生を歩みだせるような制度となることを、何より願う。

 特別養子縁組は約30年前にできた制度で、実親が育てられない子どもを、家庭的な環境で育てる狙いがある。

 普通養子縁組と異なり、実親との法的関係が消滅し、戸籍上も養父母の実子と同等に扱われる。

 このため、制度の適用は養親の申し立てに基づき、家庭裁判所の厳格な審判を受ける必要がある。対象年齢は、できるだけ小さい頃から育てられた方がよいとして定められた。

 ところが、虐待などで児童相談所が適用を検討すべきと判断したのに、子どもが対象年齢を超えていたため、実現できなかった事例が確認されている。

 15歳未満への引き上げは適用範囲を広げ、子どもの選択肢を増やすことにつながる。

 関係者や識者から、歓迎の声が上がるのは当然だろう。

 ただ、実親との法的関係を断絶するのは重い決断となる。

 今回の要綱案は、子どもの同意を要件とはしていない。だが、適用に際して、本人の意思を確かめねばならない場面は、必ずやってくる。本当の気持ちをくみ取れるような仕組みや工夫が、あってもよい。

 要綱案は、家庭裁判所の審判で縁組が成立するまで、実親はいつでも同意を撤回できる現行の手続きを、同意後に2週間が経過したら撤回できないよう改めた。

 しかし、最初から実親の同意が得られないケースは、どうするのか。大きな課題として残る。

 特別養子縁組を巡っては、仲介する民間業者を許可制にした新法も昨年、施行されたばかりだ。

 これらの法制度を、子どもの将来を第一に考えて運用できる具体的な指針がほしい。