大津地裁(大津市)

大津地裁(大津市)

 滋賀県彦根市の交番で昨年4月に上司の警察官を拳銃で射殺したとして、殺人罪などに問われた当時19歳の元巡査の男(20)=懲戒免職=に対する裁判員裁判は4日午後、大津地裁(伊藤寛樹裁判長)で論告があった。検察側は「警察官が職務上許された拳銃で殺人に及び、厳しい非難に値する。社会に与えた影響も甚大」として、懲役25年を求刑。弁護側は心神耗弱状態で刑事責任能力は限定的だったとして刑を軽くするよう求め結審した。判決は8日。

 検察側は論告で、元巡査が上司の井本光(あきら)巡査部長=当時(41)、警部に昇任=から書類作成で日々叱責(しっせき)され、ため込んだ怒りを爆発させて犯行を決意したと動機を指摘した上で、「指導は厳格な域を出ず、(元巡査が)自分を追い込んでいった」と非難。「妻と幼い子を残し、この世を去った無念は計り知れない。遺族の処罰感情は最大限考慮されるべき」とし、元巡査が犯行時に未成年だった点を量刑上大きく考慮するのは相当でないと強調した。

 争点の責任能力の程度については、完全責任能力を改めて主張。精神鑑定の結果から「ストレスに対処できない適応障害だったが、責任能力に影響を与える精神障害は存在しなかった」とし、犯行前後の記憶が定かで状況に応じて行動していたことからも判断能力に問題はなかったとした。

 弁護側は、精神鑑定を実施した専門家2人の証言を交え、「よりどころだった大切な両親を被害者に侮辱されて精神が崩れた。神経の高まりを抑える機能が低下し、衝動や行動を制御したり、思いとどまることは非常に難しかった」と反論。思考が非常に狭まった未成年が突発的に起こした犯行で深く後悔しているとして、情状を酌むよう訴えた。元巡査は最終意見陳述で被害者の妻に初めて謝罪した。

 起訴状では、元巡査は昨年4月11日午後7時47分ごろ、彦根署河瀬駅前交番(彦根市南川瀬町)で、拳銃を2発発射し、井本巡査部長の後頭部と背中に命中させて殺害。パトカーで逃走し、不法に拳銃と実弾3発を所持した、としている。