新型コロナウイルスの感染拡大で苦境にあえぐ地域経済をどう支えていくか。地方銀行や信用金庫といった地域金融機関が本来の存在意義を示せるかが試される。

 コロナ禍による打撃で、中小企業を中心に経営悪化の広がりが懸念されている。資金繰りを支える金融機関に波及し、機能不全に陥ることは避けねばならない。

 このため、地銀などが公的資金による資本注入を受けやすくする改正金融機能強化法が、先の通常国会で成立した。

 公的資金の申請期限を2026年3月まで4年延長し、注入できる公的資金の枠を12兆円から15兆円に拡大した。積極的な活用を促すため、金融機関の経営責任は問わず、15年以内を目安としていた返済期限も定めないなど要件を緩和した。

 国による資本増強の枠組みを広げ、地域の「金融危機」に連鎖する事態を回避できるよう先手を打ったといえる。

 以前から地域金融機関の経営環境は厳しい状況にある。地方の人口や事業所の減少に加え、日銀の大規模な金融緩和で超低金利が続き、利ざやで稼ぐビジネスが細っている。

 株式上場している地銀78社の20年3月期決算は、赤字転落の3社を含めて7割超が純利益を減らした。コロナ禍による融資先の経営悪化に備えて貸倒引当金を大幅に積み増したのが響いている。

 現在、全行が経営の健全度を示す自己資本比率で国内基準の4%を上回っている。だが、さらに影響が長引いた場合、不良債権化して自己資本不足になるのを金融機関が警戒し、貸し渋りなど事業者に必要な資金が回らなくなる恐れがある。

 予防的な公的資金注入によって、地域経済の「底割れ」を防ぐ役割が期待される。

 コロナ禍を乗り切る上で地域金融機関が担う役割は大きい。企業の資金繰り支援に向け、政府が経済対策で始めた実質無金利・無担保融資制度を使った貸し出しを増やしている。

 この融資を日銀も後押しし、中小企業や個人事業主に融資実行した金融機関に無利子で資金を出すなど、最大約30兆円の支援策を6月から始めた。

 日本経済の土台をなす中小事業所と雇用の維持を図ることが喫緊の課題であることを示していよう。地域金融機関の存立基盤であり、打撃を受けた融資先からの返済の猶予や条件緩和の要請にも柔軟に応じてほしい。

 無利子の資金繰り支援策などで急場をしのげても、それだけで深手を負った事業者が立ち直れるわけではない。

 コロナ感染が再拡大し、先行きも需要の回復が見通しにくい。秋以降の資金が続かないとして事業を諦め、倒産や休廃業が急増することが危ぶまれている。

 融資先に寄り添って強みや将来性を見極め、持続可能な事業への再構築を粘り強く支援することが不可欠だ。地域で根を張る幅広い業種や人的なネットワークも生かして活路を開けるか、結節点にある地域金融機関の真価が問われよう。