試合後、サンガサポーターが拍手を送り、選手も手を挙げて応じる。新型コロナの収束は見えないが、スポーツの意義を見つめる好機とも言える(7月19日、亀岡市・サンガスタジアム京セラ)

試合後、サンガサポーターが拍手を送り、選手も手を挙げて応じる。新型コロナの収束は見えないが、スポーツの意義を見つめる好機とも言える(7月19日、亀岡市・サンガスタジアム京セラ)

 サッカーJリーグは新型コロナウイルスの影響による中断期間を挟み、再開から1カ月が過ぎた。J2京都サンガFCの選手たちはプレーできる感謝をピッチ内外で届け、クラブは収益減を覚悟の上で安全な運営に力を注ぐ。サポーターは応援に制約がある中で後押しを続ける。コロナ禍はスポーツ界に大きな打撃を与えているが、「する」「見る」「支える」という原点を見つめる契機になるはずだ。

 リーグ再開初戦となった6月28日。亀岡市のサンガスタジアム京セラ(府立京都スタジアム)での磐田戦は無観客で行われた。選手がウオーミングアップに現れても会場は静かなまま。記者たちは「違和感があるなあ」。試合中も選手やコーチの声だけが響く。取材はオンラインでパソコンの画面越し。コロナは全てを一変させた。

 その試合でピーター・ウタカ選手がゴールを決めた。そしてイレブンは右拳を掲げるパフォーマンス。「医療従事者や京都府、日本に感謝を伝えたかった」。安心してプレーできることへの謝意を、チーム全体で表現した。選手たちは自粛期間中も、インターネットで資金調達するクラウドファンディングを立ち上げ、サイン入りグッズなどを返礼品として支援金を募った。目標額を超える320万円が集まり、今後京都府に寄付する。

 7月11日から約4カ月半ぶりに、観客の受け入れを再開した。サポーターは上限5千人で、消毒、検温して入場し、左右3席ずつ間隔を空けて席に着く。声を出しての応援はできず、拍手で選手を鼓舞した。人数や応援行動の制限は当分続くとみられるが、家族4人で観戦した京都市内の男性(40)は「選手の指示やボールを蹴る音が聞こえ、サッカーそのものを楽しめる」と喜ぶ。

 ただ、コロナの感染状況は予断を許さない。今月2日のJ2大宮-福岡戦では、福岡の選手1人に感染の疑いが強まり、濃厚接触者の特定ができないため急きょ中止となった。サンガも同日の町田戦で、相手チームの選手に感染が発覚し、開催可否をぎりぎりまで検討した。Jリーグの村井満チェアマンは2週間に1度の公式PCR検査に加え、試合日に判定できる「スマートアンプ法」の併用を示唆。安全を最優先に、ガイドラインの修正が急がれる。

 サンガが観客を受け入れたホーム3試合の平均来場者数は2950人。今季は入場料やスポンサー収入の減収が見込まれ、伊藤雅章社長は「今は耐えしのぐ時。今後はファン、地域、スポンサーと支え合う色彩がより強くなる」と語る。

 ウイルスの収束は見通せないが、クラブは地に足をつけて前に進んでほしい。未曽有のシーズンが、サポーターとの絆を強め、クラブの未来につながると信じている。