沖縄を象徴するガジュマルの木を描いた自作(左から2点目)の前で作品展の意味を語る田中直子さん=京都市中京区・ギャラリーヒルゲート

沖縄を象徴するガジュマルの木を描いた自作(左から2点目)の前で作品展の意味を語る田中直子さん=京都市中京区・ギャラリーヒルゲート

 表現の自由を守る立場から反戦と平和を呼び掛ける活動を行ってきた京都の美術家たちが、京都と沖縄で移動作品展を開く。5日に京都市中京区のギャラリーでスタート、4月までに沖縄県内2カ所を巡回する。県民投票が2月下旬に予定され、米軍基地問題がヤマ場を迎える中、美術家たちは「戦後ずっと負担を強いられた沖縄に寄り添いたい」との思いを強めている。

 移動展「いま、戦争の兆しに心いたむ美術家たちの作品展」には沖縄在住者を含め、絵画や陶芸、染色など幅広い分野から127人が参加する。共通テーマは設けず、大人数が参加することで京都から問題提起する。「じごくのそうべえ」で知られ、近年は沖縄の妖精「きじむなー」を描く絵本作家の田島征彦さん、「原爆の図」「沖縄戦の図」を手掛けた故・丸木位里、俊夫妻の作品も出展する。

 自作を掲げて平和や憲法9条改正反対をアピールする活動を中京区で行う美術家たちが、2016年から定期的に作品展を開催している。その一人の画家田中直子さん(57)=左京区=が17年に沖縄を象徴する木、ガジュマルを描いた作品を名護市などに寄贈した縁で、移動展の案が持ち上がった。

 米軍普天間飛行場の辺野古移設を推進する政府は昨年12月、埋め立ての土砂投入に踏み切り、反対する県は今月下旬に賛否を問う県民投票を実施する。田中さんは「米兵による事件やヘリの爆音など、負担を戦後ずっと沖縄に押し付け、人ごとでいいのか」と考えたという。中京区でアピールを最初に始めた画家小西煕さん(81)=上京区=も「強引に土砂投入され、県民の意思が尊重されておらず理不尽だ」と賛同した。

 沖縄からは、有数の激戦地だった南風原(はえばる)町の新垣安雄さん(76)が「不条理な島から-宙(そら)」と名付けた現代アート作品を出す。「(本土の)無関心は『やむを得ない』という空気も県内に広がっているが、思いを表現するアーティストの仕事を通じて、平和な沖縄の実現に半歩でもつながってほしい」と語る。

 中京区寺町通三条上ルのギャラリーヒルゲートで10日まで開催(正午~午後7時、最終日は同5時)。その後に沖縄愛楽園交流会館(沖縄県名護市)、南風原文化センター(同南風原町)で予定する。無料。