国内の新規感染者が連日千人を超え、都道府県が新型コロナウイルス患者向けに確保している病院の病床(ベッド)の使用率が上昇している。

 感染拡大を抑えることができなければ、病床が再び逼迫する恐れも出てくる。政府や自治体は、正念場とみて対応を急ぐべきだ。

 厚生労働省の集計では、7月29日までの1週間に全国の入院患者が4034人から1290人増えた。

 病床使用率は39都府県で上昇し、滋賀など8都府県で30%を超えた。

 共同通信が緊急事態宣言発令時の4月に行った調査では、8都府県で使用率が80%を超えていた。

 それに比べれば、今回は最も高い大阪でさえ42%強だから、まだ余裕があるように見える。

 だが、重症者数は54人から92人と約1・7倍に増えており、油断はできない。

 感染の急拡大が進めば、重症者数は今後、さらに増え続け、医療体制が手薄な地方では、医療崩壊の危機にさらされかねない。

 今回の集計で目立つのは、その地方での病床使用率の急上昇だ。1週間で宮崎、熊本では20倍超、沖縄は10倍超となっている。

 政府は、感染拡大の第1波に比べ、人工呼吸器の使用など治療に手間や時間がかかる重症者数が少ないとして、「医療体制は逼迫していない」との立場だが、悠長すぎないだろうか。

 新型コロナ患者のベッドを増やすには、施設の用意に加え、入院中の一般患者の転院や看護師らの確保などが必要になる。

 不急の手術を先送りしたり、院内感染を防ぐため病床数を減らしたりする必要にも迫られ、調整に時間がかかる。

 だからこそ、政府と自治体は連携し、早め早めに対応することが欠かせない。

 だが、政府の対応は鈍い。

 先月末に開いた新型コロナウイルス感染症対策分科会でも防止策の指針を示せず、自治体がそれぞれの判断で対策強化を進めているのが現状だ。

 感染拡大で多くの病院が経営難に陥っている。政府はコロナ患者受け入れ病院に限って支援策を講じたが十分と言えず、第2波に向けた地域医療全体の下支えには程遠い。

 今は感染拡大の抑止と医療体制の確保に総力を挙げる時だ。それなしに安定した経済活動など望めない。