上村松園の「待月」をイメージした和菓子。夏の夕暮れ時、まだ姿が見えない月を表現した(京都市左京区・カフェ「ENFUSE」)

上村松園の「待月」をイメージした和菓子。夏の夕暮れ時、まだ姿が見えない月を表現した(京都市左京区・カフェ「ENFUSE」)

 上村松園「待月」1926年 京都市美術館蔵

上村松園「待月」1926年 京都市美術館蔵

 5月にリニューアルオープンした京都市京セラ美術館(左京区)の所蔵品をイメージした四季折々の和菓子が、館内のカフェ「ENFUSE(エンフューズ)」で提供されている。現在は日本画家・上村松園の「待月」(1926年)にちなんだ上生菓子で、関係者は「作品の世界を想像したり、あらためて鑑賞したりするきっかけになれば」と期待する。

 和菓子を手掛けるのは、京菓子司「金谷正廣(かなやまさひろ)」(上京区)の6代目金谷亘(わたる)さん(38)。京都造形芸術大(現京都芸術大)出身で、もともと美術品や美術館が好きだった。同館のリニューアルに先立ち、美術品に関連した和菓子作りをカフェと企画。同館の意向も踏まえ、季節ごとに所蔵品を展示替えしている「コレクションルーム」の作品に合わせて作ることになった。

 春の和菓子は日本画家・丹羽阿樹子の「遠矢」(1935年)がモチーフの練切で、続く夏の作品は月の出を待つ女性の後ろ姿を描写した「待月」。琥珀(こはく)色の錦玉羹(きんぎょくかん)を夕暮れに、下部の水ようかんを宵闇に見立て、餡(あん)にレモン皮の粉末などを混ぜ込んでまだ見えぬ月を表現した。

 作品の細部や上村松園の著書などから想像を膨らませて10種類ほど試作し、学芸員から助言を得て仕上げた。金谷さんは「作品の品位や世界観を表すために、月の位置をミリ単位で調整し、レモンは果汁だけでなく皮の粉末も入れることで若干の苦みが感じられるよう工夫した」と語る。

 カフェ店長の内田雅之さん(38)は「さっぱりとして年齢を問わず好評で、写真を撮ってSNSに投稿する人もいる。コーヒーとの相性もいいので一緒に味わってほしい」と呼び掛ける。

 1個400円で、1日限定約10個。販売は「コレクションルーム 夏季」の期間中で9月22日まで。秋以降の作品や和菓子は未定。新型コロナウイルスの影響で、カフェ利用の際も展覧会の予約が必要(月曜休館、祝日の場合は開館)。