山田さんが県内食材を使って開発した3種類のチーズ(甲賀市信楽町神山・山田牧場)

山田さんが県内食材を使って開発した3種類のチーズ(甲賀市信楽町神山・山田牧場)

 手作りチーズの販売も手掛ける山田牧場(滋賀県甲賀市信楽町神山)の山田保高代表(70)が、県内の特産品であるふなずし、朝宮茶、弥平とうがらしを使ったチーズ3種を開発した。特にふなずしのチーズは昨年5月に発売すると、同社で最も売れる人気商品になった。山田さんは「日本でしか作れないチーズで酪農の発展に寄与したい」と意気込む。

 山田牧場は山田さんの祖父が京都市内で始め、1974年に信楽に移転。現在は乳牛約170頭を飼育する。消費者と顔が見える関係を作りたいと、山田さんはチーズやヨーグルトなどの乳製品の作り方を学び、88年から牛乳とともに牧場内で販売を始めた。

 常時販売するチーズは、伝統的な「ラクレット」「ゴーダ」「クワルクチーズ」と、熟成過程でふなずしを使う独自商品の「琵琶のトト」の4種。

 琵琶のトトは、フナの周りの米の部分である飯(いい)を再発酵させた液をチーズ表面に染みこませる。「ふなずしらしい匂いをどこまで出すとお客に最も喜ばれるかを考えている」と山田さん。臭みは少なくまろやかな味が特徴で、「試食して『一番おいしい』と言われることが多く、最も売れている」という。

 「モッ茶レラ」は、同町朝宮地域の朝宮茶の煎茶と抹茶の粉末を原乳に混ぜて製造したモッツァレラチーズで、昨年から注文を受けて生産販売する。

 隣の湖南市の特産品である弥平とうがらしの粉末を練り込んだカチョカヴァロという種類のオリジナルチーズも開発。唐辛子の辛みがチーズの風味に合うといい、3月にも受注販売を始める。

 1日発効した日本と欧州連合(EU)の経済連携協定(EPA)で、輸入チーズの関税は段階的に下がり、16年後には撤廃されることが決まった。

 欧州産チーズがより身近になると想定されるが、山田さんは「日本の乳製品文化は戦後70年間にすぎない。古くからの滋賀の豊かな食文化と組み合わせ、ここにしかない味のチーズを楽しんでもらえるようにしたい」と話し、国産チーズを食文化の一つとして根付かせたいと願う。

 問い合わせは牧場内の販売所0748(82)7877へ。