京都の「京」の字は、望楼を設けて都の城郭を守る門や、丘の上に立つ家の形ともされる。仰ぎ見るため高い、大きいという意味も派生したと字典にある。「鯨」にも使われている▼数字の大きさを表す単位にもなり、兆の1万倍が「京(けい)」だ。17桁も連なる途方もない世界だけに、そうそうお目に掛かることはないと思っていたのだが…▼「1京9千兆円」。国際決済銀行が発表した全世界の政府や事業会社、家計が背負う債務(借金)残高の総額だ。リーマン・ショック後の大規模な不況対策や金融緩和によって、10年余りで1・6倍に膨らんだ。気の遠くなる重荷である▼中国の6倍など新興国で増大が目立つが、日本も1・3倍で全体の1割を抱え込んでいる。国だけで1100兆円を超え、先進国最悪の借金漬けだ▼なのに危機感が薄く、政府は消費増税までしながら、景気対策など金遣いの荒さが改まりそうにない。財政赤字の拡大を容認して開き直るような議論も聞かれるが、誰も負担せずに済む「打ち出の小づち」などない▼京といえば、8月末に7年間の運用を終えたスーパーコンピューター名だった。「2位じゃだめなんですか?」と費用対効果を問われたが、高い稼働率で幅広い成果を生んだ。京の人々も大事にしてきたのは始末ではないか。