嘱託殺人事件を受け、記者会見する(右から)大藪光俊さん、岡山祐美さん、増田英明さん=5日午後2時43分、京都市上京区・府庁

嘱託殺人事件を受け、記者会見する(右から)大藪光俊さん、岡山祐美さん、増田英明さん=5日午後2時43分、京都市上京区・府庁

 筋萎縮性側索硬化症(ALS)の女性に対する嘱託殺人容疑で医師2人が逮捕された事件を受け、京都の難病当事者らが5日、京都市上京区の府庁で記者会見を開いた。障害や難病のある人たちの安楽死を容認するような意見がインターネット上などで散見されることに懸念を示し、「死にたいではなく、支え合って生きたいと思える環境をつくる必要がある」と訴えた。

 難病患者や障害者らでつくる「日本自立生活センター」(南区)が会見を主催した。体幹や手足の筋力低下が進む脊髄性筋萎縮症を生まれつき抱える大藪光俊さん(26)は「(難病が)苦しいなら安楽死しても仕方がない、という風潮になることを危惧している」と打ち明けた。自身は24時間の在宅ケアを受けて暮らしており、「病が進んで体が動かなくなり、怖い時期もあった。でも障害のある仲間から『大丈夫だよ』と教えられ、生きたいと思い続けられた」と語った。

 ALS患者の増田英明さん(76)は文字盤を使い、「私たちは生きることに一生懸命です。安楽死や尊厳死の前に、生きることを議論してください」と言葉をつないだ。

 神経筋疾患の難病、遠位型ミオパチー患者の岡山祐美さん(40)はオンラインで報道機関に意見を寄せ、「生と死の間で揺れる当事者がいる。死にたい思いを高める報道ではなく、生きることを支えるメッセージを発信してほしい」と求めた。

 嘱託殺人事件が発覚した後、障害者団体などは相次いで見解を表明している。日本障害者協議会は「(亡くなった女性が)死にたいと漏らしていたのは、生きづらさの裏返しだ」と指摘。障害者らへの強制不妊手術を認めた優生保護法が1996年まで存在したことに触れ、「障害や病気はかわいそう、という考えが社会に深く根を下ろしている。女性の絶望感はこうした風潮と無関係とは言えない」と問題提起した。

 障害者らでつくるDPI日本会議や神経筋疾患ネットワークなど7団体は「これはネットを介した殺人事件。安楽死や尊厳死を法制化する議論を進めようとする主張もあるが、もってのほかだ」と強調した。