これで中立的な立場と言えるのか。

 携帯電話の料金値下げを議論する総務省の審議会トップや一部委員の国立大教員が、携帯電話大手側から多額の研究寄付金を受け取っていたことが分かった。

 同省は一連の寄付を全く把握しておらず、特に問題視はしていない。

 だが、その認識は甘いと言わざるをえない。審議会は国の政策立案過程の一つであり、何より求められるのは公平性と中立性だ。

 本来、中立であるべき委員が企業側に偏っているなら公正な議論など期待できず、審議会の存在自体にも疑義が生じかねない。携帯会社と委員の金銭関係について徹底調査してもらいたい。

 審議会は電気通信事業政策部会と下部組織で、現職委員計28人中10人が所属する国立大に共同通信が情報公開を請求した。

 それによると、部会と下部組織の両方で中心的立場を務める教授がNTTドコモとKDDIのグループ企業から計900万円を受領するなど、少なくとも8人が計4330万円に上る個人宛て寄付を大学を通じて受けていた。

 教授らは「特定企業に有利になる発言はしていない」などと説明。一方で情報開示制度を望んだり、公正さ確保のため自主的に公表したりする人もいた。

 私立大と民間企業所属の他の委員は詳細が分かっていない。情報公開請求が及ばないためだ。

 疑問なのは、原子力や新薬に関する国の組織には金銭のやりとりを制限する規定が設けられているにもかかわらず、総務省の審議会にはそれがないことだ。

 原発の再稼働を審査する原子力規制委員会の委員は在任中、原子力事業者からの寄付禁止が定められている。厚生労働省薬事・食品衛生審議会の薬事分科会委員にも直近3年以内に受けた寄付金の金額によって審議や議決に参加できないなどの取り決めがある。

 携帯料金の引き下げは政府の主導で審議会が昨年9月から議論を進めてきた。6月までに中間報告をまとめる予定という。

 携帯2社側は寄付の目的を「学術振興」とする。学者の研究に資金が必要なのは理解できるが、金銭支援を受けた企業について委員として議論するのは問題があるのではないか。審議に疑念を持たれないようにするためにも総務省は利害関係の情報開示を進め、透明性の確保に努めるべきだ。併せて金銭面の制限や調査に関するルールづくりを急ぐ必要がある。