旧前川邸隣接地のマンション計画で開発許可の取り消しを求めて審査請求した住民ら(京都市役所)

旧前川邸隣接地のマンション計画で開発許可の取り消しを求めて審査請求した住民ら(京都市役所)

 幕末に新選組の屯所だった「旧前川邸」(京都市中京区壬生賀陽御所町)隣接地のマンション開発計画を巡り、周辺住民ら約500人が7日、市による開発許可の取り消しを求める審査請求書を市開発審査会に提出した。工事車両が通行する道路について、幅が開発許可の基準を満たさず、違法としている。

 事業計画によると、旧前川邸の東隣に、大阪市内の事業者が地上7階・地下1階の賃貸マンション(高さ約20メートル、108戸)を建てる。これに対し、地元住民らが歴史的建物や景観への影響などを懸念し、建設中止を求める署名をすでに市へ提出している。

 審査請求では、工事車両も走る敷地周辺の道路について、開発許可の基準(幅4メートル以上)に達しない部分が含まれ、「通行上支障がない場合」に該当しないと指摘。市の開発許可を取り消す裁決を求めるとした。

 請求人には、壬生寺や新徳寺、八木邸といった一帯の新選組ゆかりの寺院や施設の関係者も名を連ねた。

 請求書を提出し、記者会見した旧前川邸所有者の田野一十士さん(65)は「住民や研究者、ファンにも親しまれ、自分の家であっても、お預かりしているという気持ちが強い。7階建てマンションは景観にそぐわず、計画を変更してほしい」と訴えた。

 旧前川邸は文久3(1863)年に上洛した浪士組(新選組の母体)が宿舎に用い、当時の長屋門や土蔵などが現存している。池田屋事件のきっかけになった拷問を行ったり、幹部の山南敬助が切腹したりした場所と伝わる。この日、新選組を率いた近藤勇や土方歳三らの縁者や子孫、愛好家らによる建設中止を求める署名(約4400人分)も市長宛てに出された。