滋賀県が2月12日に裁決の上、開示した強制不妊手術関連文書。黒塗りが多く第三者は検証できない

滋賀県が2月12日に裁決の上、開示した強制不妊手術関連文書。黒塗りが多く第三者は検証できない

 優生保護法下の強制不妊手術に関する公文書を滋賀県が非開示としたことは県情報公開条例に違反するとして、京都新聞社は7日、県を相手に開示を求めて大津地裁へ提訴した。原告側によると、強制不妊手術を巡って自治体に情報開示を求める訴訟は全国で初めて。

 同社は2017年、強制不妊手術の適否を決める県優生保護審査会に提出された資料を県に情報公開請求した。県は18年4月までに、手術対象者の発病後の経過▽病歴▽生活状況▽遺伝関係▽年齢-など、手術を行う根拠となった情報の大部分を黒塗りにして開示した。

 同社は不服として県の第三者機関「公文書管理・情報公開・個人情報保護審議会」に審査請求。同審議会は非開示部分のほぼ全てとなる449カ所を開示するよう答申したが、県は今年2月の裁決で「偏見や差別を受ける恐れがある」とし、約8割に当たる347カ所を非開示とした。

 訴状で同社は、個人の特定につながる情報は求めていないとした上で、強制不妊手術は極めて重大な人権侵害であるにもかかわらず実態は不明な点が多く、「情報は公開される必要性が非常に高い」と主張。県が非公開とした部分は、条例の定める「人の生命、健康のために公にすることが必要だと認められる情報」としている。

 条例は同審議会の答申を「尊重しなければならない」と明記していることから、県が答申に反する裁決をした点を「尊重義務に反する」と訴えている。

 同審議会は6日に県の対応を批判する建議書を三日月大造知事に提出。公開の場での説明を求めている。

 原告側は7日に大津市の県庁で会見し、木内哲郎弁護団長は「被害の全体像を明らかにすることが個々の救済につながる。県は自ら積極的に公開すべきだ」と話した。

 県健康福祉政策課は「訴状を確認した上で対応を検討したい」とコメントした。