男性の3月の給与明細。右側の支給額を左上の「所定内労働時間」で割ると時給630円ほどになる(写真の一部を加工しています)

男性の3月の給与明細。右側の支給額を左上の「所定内労働時間」で割ると時給630円ほどになる(写真の一部を加工しています)

 京都地方最低賃金審議会はこのほど、京都府内の最低賃金(時給)を現行の909円のまま据え置くよう、金刺義行京都労働局長に答申した。今後、異議申立期間を経て決定する。据え置きとなれば、2003年度以来17年ぶりとなる。収束が見えない新型コロナウイルス禍で、雇用情勢の悪化に歯止めがかからず、雇用維持を最重視した結果だが、現行の最賃すら支払われないと訴える労働者もいる。「コロナショック」の中で、働く人の生活を支える最賃の重みは増している。

 5月上旬、京都市内のタクシー運転手3人が、最低賃金法に違反したとして勤務先のタクシー会社を京都下労働基準監督署に告訴した。昨年12月以降の複数の月で給与を時給換算すると、最賃の時給909円を下回るという。告訴の約2カ月後、会社側は最賃の差額とする金額を支払ったが、3人は「これでは暮らせない」と憤る。

 告訴人の1人の男性(48)は、3月まで4カ月分の給与合計が最賃で働いた場合より15万円以上低いと訴える。3月分は、支給額を所定労働時間の132時間で割ると、時給約630円となるという。

 男性には会社側から5カ月分の最賃との差額とみられる約10万円が支払われた。通勤手当などは最賃に算入しないが、給与明細の記載は「その他手当」のみで、算定根拠は分からない。「アルバイトで乗務していたわけではない。人生を狂わされた」。乗務歴14年の経験を生かし、個人タクシーで独立を検討していた男性は、生活の苦しさから他業界に転職した。

 最低賃金法は、労働者の生活の安定や事業の公正な競争の確保を目的に掲げ、労働者に最賃以上の賃金を支払うことを定める。違反した企業は50万円以下の罰金が科される。