過去最多の44道府県での人口減少が明らかになった。東京一極集中に歯止めがかからない。

 総務省の人口動態調査によると、今年1月1日時点の国内の日本人は1億2427万1318人で、前年から50万5046人(0・40%)減った。

 マイナスは11年連続で、減少数、減少率とも過去最大である。増えたのは東京、神奈川、沖縄の3都県だけだ。

 京都は248万1833人(0・52%減)、滋賀は138万7945人(0・21%減)だった。

 安倍晋三政権が地方創生を看板政策に据えて5年余り。主要施策のはずの地方移住促進や企業の地方移転は効果を上げていない。

 中央省庁の地方移転も、京都への文化庁移転が決まった程度だ。少子化と東京一極集中はむしろ加速している。

 ただ新型コロナウイルスの感染拡大を経て、集中緩和に向けた兆しも見えてきたようだ。

 限定的とはいえ、在宅・遠隔勤務などのリモートワークを導入する企業が増えた。東京から地方へ生活拠点を移す動きもみられる。

 総務省の5月の人口移動報告によると、東京都は人口が流出する「転出超過」となった。2013年7月の集計以来初めてだ。

 過密がもたらすリスクを多くの人が痛感している。緊急事態宣言解除後の内閣府調査では、東京23区に住む20代の35%が地方移住への関心が高まったと回答した。

 関心を一過性で終わらせないよう、政府は有効な集中是正策を打ち出してほしい。

 地方での仕事や住環境面の支援を充実させ、移住の決断を後押しする対策が求められる。

 これまでの政策の不具合を検証し、抜本的な態勢立て直しが欠かせない。まずは政府機関も分散やリモートワークを進め、範を示したらどうだろう。

 一方、3年連続で日本人の人口が増えたのは157市区町村だった。子育て支援や移住支援を充実させた例が目立つという。

 岐阜県岐南町は小学校全学年での学童保育の実施など教育環境を整備し、若い世代を呼び込んでいる。

 長野県御代田町は移住促進に力を入れ、市民農園に簡易宿泊機能が付いた施設を設けて都市住民との交流を進める。

 参考になる取り組みだ。ただ自治体間で人を奪い合っても抜本的な解決にはならない。

 人口減少が進む中、長期的視点に立って生活の質を問い直す施策へシフトすべきではないか。