墨跡がある木簡を再利用した琴柱(滋賀県栗東市)

墨跡がある木簡を再利用した琴柱(滋賀県栗東市)

 滋賀県文化財保護協会は10日、滋賀県栗東市上砥山の上砥山(かみとやま)遺跡で、漢字の墨跡がある木簡を転用した琴柱(ことじ)や墨書土器、硯(すずり)などが出土したと発表した。これまで同遺跡は8~14世紀ごろの農村集落跡とされていたが、識字層の居住が裏付けられ、役所にあたる官衙(かんが)に関連する公的施設が置かれていた可能性があるという。

 調査では、幅約10~12メートル、深さ約70~110センチの河川跡が確認され、そこから7世紀中頃(飛鳥時代)から8世紀(奈良時代)にかけての土器の破片など数百点が出土した。

 そのうち、琴の弦を支える調整用具の琴柱が2点見つかり、うち1点は、「道」と推測される墨跡がある木簡を再利用したとみられる。大きさは高さ26・7ミリ、幅32ミリ、厚さ5・8ミリ。木簡を転用した琴柱は、奈良県の石神遺跡など官衙と関係が深い遺跡で発見されており、今回の出土で18点目。

 また、「太」「長」「井」などが記された墨書土器が数十点、中空円面硯(けん)1点、須恵器のふたを硯として代用した転用硯も複数出土し、河川跡からは祭祀(さいし)用の土馬のかけらや、東西5メートル、南北7メートル以上の掘立柱建物跡1棟も見つかった。

 成安造形大の大橋信弥非常勤講師(日本古代史)は「この遺跡が一般集落でなく、公的施設だったことは明らかで、7世紀に周辺で操業していた瓦陶(がとう)兼業窯(古代瓦と須恵器を焼いた窯)の生産管理を担っていた可能性がある」と推測する。

 一般向け現地説明会は19日午後1時半から(雨天決行)。